第6話 復活へ4/6 *咲羅*

「樹里をレッスンに参加できるようにしてください」

「やるかやらないかは彼女次第だよ。それはわかってるね」

 私の仕事やレッスンに付き添ってくれ頻度が増えた頃、曽田プロデューサーにお願いした。

 よく「咲羅は依怙贔屓だ」って言われるけれど、それは本当。お気に入りだから。曽田は私のママの元マネージャーで、彼は私にママの影を重ねてる。

 だから、絶対叶えてもらえる。それを利用しない手はない。

 どんな形であろうと、絶対に樹里をアイドルにしてみせる。

「あの子の記憶力は才能です。それに、顔が良い。絶対に需要はあります」

 口角を少し上げると、曽田プロデューサーは

「わかった、私も彼女の踊りを観てみたいしね」

 振付師さんに上手く声をかけてもらい、咲羅を強制参加させた。何度か見学に来た曽田に

「樹里は十二分に人を惹きつけるものがあると思います」

 裏でこっそり声をかけると、腕を組みながら

「ただ覚えるだけじゃなく、自分の踊りができている」

 振りを全員揃えた方がいい、なんて声もあるけど、うちの事務所では基本的に「振りは揃えない」。だって個性が潰れちゃうでしょ。

 彼は顎に手を当てて話し出す。

「実はこの間『アイドルにならないか』って声をかけたんだけどね。見事にフラれたよ」

 やっぱり、そう簡単に事は進まないか。

「急いてはことを仕損じるからね。彼女がその気になるまではダンスレッスンやボイトレをさせていこう」

 だけど、曽田は本気で彼女をアイドルにさせる気になってくれてる。私も、諦める気は毛頭ない。私たちは彼女がステージで舞う姿が観たい。

 あーホント、曽田ってちょろくて最高。樹里も素直にアイドルになってくれたらいいのに。

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