第6話 復活へ5/6 *咲羅*
これは私と樹里の勝負だ。というか、我慢比べに近いのかな。
私はね、もう我慢の限界だよ。
だから私のソロ曲の動画にバックダンサーとして参加してもらったり、メンバーの代役としてライブやら歌番組やらに参加してもらってるのに。
自分は影でいいと言うけれど、私たちの為に性格を変えた樹里。人は変われるのだと体現してくれた。
私にとっても、Roseにとっても樹里は太陽みたいな存在なんだよ。
だから絶対に逃がさない。
昔さ、「心なんて失くしちゃった」って言ったことあるでしょ。いろんなところから向けられる刃に傷けられているうちに、心なんて失くしてしまった方が楽だと気がついた。だから「私に心なんてない」そう自分に何度も言い聞かせた。そしたら、アンチコメントとか炎上とか本当にどうでも良くなった。
言霊って凄いね。
でも、そのコメントに傷つくファンや樹里を見ている方が辛い。
だから私はなにがあっても弱音を吐かずに、絶対的なアイドルになるために努力して。そのおかげで、今では叩かれることは少なくなった。
ねぇ樹里。私は貴女がいたから強くなれたんだよ。
あとね、デビューしてからずっと称賛される度に、なにかを失っていく気がしてた。だから必死にその『なにか』を繋ぎ止めようと努力してきた。
いつか樹里も失いそうな気がして。太陽が月と交代して沈んでいってしまうみたいに。
樹里は私がいなくなっちゃうんじゃないかって心配してるみたいだけど、それはこっちのセリフだよ。
いつか、ファンに「咲羅たんは花みたいだね」と言われたけれど、花は咲いたら枯れるだけ。
枯れないためには、絶対的な存在になるしかない。
フィオで『絶対的なセンター』でも、事務所の中で1番でも、外で1番じゃないなら意味がない。私はアイドル界の女王の座に就きたい。
その為には樹里が隣にいてくれなくちゃ。私には貴女が必要なんだよ。
それに、花は太陽が照らしてくれないと咲いていられないんだよ。
だから隣で私だけを照らしてよ、樹里。お願いだから早くここまで堕ちてきてよ。
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