第6話 復活へ6
その日の夜、お風呂上りにソファでスマホを弄っていた私に
「樹里、ちょっと見て」
隣に座った彼女のスマホを覗き込むと、翔ちゃんとのメッセージが表示されていた。
日付は今日のもので、咲羅の方から《会いたい》とメッセージが送られていた。それに対する翔ちゃんの返信は《ごめんなさい》。
駿ちゃん伝いで聞いたことだけど、翔ちゃんは今家に籠もりっぱなしらしい。彼女も同じマンションに住んでいるから、会いに行こうと思えば行けるんだけど……。
「これからどうするのか、私になにかできることはないか直接話をしたいんだけど……」
「こればっかりは、無理に押しかけるわけにもいかないし。返信をくれただけで良しとするしかないよ」
「そうだよね」
少し暗い表情をする彼女に、ふと『翔ちゃんと同じことをするんじゃないか』なんて考えてしまって怖くなる。
昔からパフォーマンス中は『儚さ』を身にまとっていて、それが彼女の魅力の一つではあるんだけど……最近は更に磨きがかかっていて、パフォーマンスが終わったら、ううん。日常生活でも、ふと消えちゃうんじゃないかと不安になってしまう。
「さくちゃん」
その一言で、いや私の瞳から不安を読み取ったのか、彼女は優しく抱きしめてくれた。
「私はいなくならないよ。樹里が望んでくれるなら、ずっと傍にいるよ」
じゃあ、私がなにも言わなかったら離れちゃうってこと?
言葉が喉まで出かかるけれど、結局なにも言えずに彼女を抱きしめかえした。
お互い無言で抱きしめ合っていると、全身が咲羅の体温に包まれているような感じがして。凄く心地が良くて。何故だか泣きたくなってしまった。
もういっそのこと、このまま1つになれたらいいのに。
そんな願いを胸にそっとしまって、私たちはそのまま抱きしめあったままソファで寝落ちしてしまった。
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