『配給部隊』

 スコルは壁に隠れて打ち合いをしている。三等兵が相手をするには分が悪すぎるような相手だ。

「クッソ……なんで俺が二等兵を……」

そういうふうにぼやいていると、どこからともなくサイレンのようなものが鳴る。それが聞こえた瞬間、上を見上げた。

「ウラヌス中尉!」

「よそ見すんなよー?」

上からメガホン越しの女の声が聞こえてくる。小さな飛行する乗り物に乗った大量の配給部隊が空を埋め尽くしている。

「お前は空からじゃない。地上の配給係だ」

「……じゃあ?」

突然、壁の向こうから叫びが聞こえた。男の物と女の物だった。男の声の方はさっきまで打ち合っていた相手だ。

「すみませーん!追われてるんですー!」

すぐ横をとんでもないスピードで駆け抜けていったそれを見てスコルは叫ぶ。

「ジュピター大尉!こっちですこっち!」

「……騙されないからな!」

「騙してないですって!俺は三等兵、スコルです!」

「三等兵スコル?」

ジュピターはパラパラとメモをめくって、あるページに指をさした。

「名前あった!じゃあこれ!」

ジュピターは弾薬(BB弾)と飲み物の入ったペットボトルを渡して走り去った。

「よし……これでだいぶしのげ───」

そんな独り言をしていると撃たれた。油断しすぎたようだった。ただ風と時間と自責の念が流れる。なんか、もう、やだ。

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前線部隊は元帥の夢を見るか? 東 南我 @taida_sosaku395

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