『ノープス軍幹部』

 ノープス基地地下。ブルー層の部屋のうちの一つの会議室はがやがやとたくさんの声が響いていた。

「お前本当に言ってんのかよ!ほぼ私利私欲じゃねぇか!」

「大マジだわこの野郎!つかそれお前だからな!」

「どうして今日に限って大将さまがいないのかねぇ」

「ごほっ、ヴぇっ」

「お兄ちゃん……」

「予算足りねぇんだおめぇら静かにしろ!」

「うるさいうるさーい!」

幼い少女の声で場は静まり返った。

「……はぁ……まず、アロー少将は移動式兵器庫の速度上昇と容量の拡大」

もう一人の少女は言った。

「そうだエリダ元帥!これには文句ないだろ!ドルフィンのより役に立つ!」

今度は十五くらいの男が叫ぶ。

「何を言っている!ドルフィン中佐ファンクラブ設立だろ!少将だからって何でも言っていいわけじゃないだろ!」

エリダはアローとドルフィンを交互に見てから呆れたようにため息を吐いてからドルフィンに言った。

「お前は馬鹿か。じゃあアロー少将の案を―――」

「待て待て待て待て!!」

「勘弁してくれ……」

「お兄ちゃん!」

長机に頭を落とす音と怒声が鳴る。

「まずドルフィンの意見は聞かないとする。で、スネイク大佐、フライン大佐は?」

まず話したのは色白い、気弱に見える少年。

「えっと……これ以上改造をしようとするとお兄ちゃんの負担が……」

こんどは目の下にクマを作った、机に突っ伏している見るからに不健康な少年が言う。

「だから……げほっ……勘弁…………」

その様子を見てからエリダは少し考えて言う。

「……ベテルギウス中将。手伝い頼むよ」

すぐ隣にいた背丈の低い男が答える。

「うーん……元帥さまの命令なら」

「お前いつも……元帥の命令だからってヴぇっ……」

「大丈夫お兄ちゃん……」

フラインがスネイクの背中をさすりながら心配するように言った。その様子をみてからエリダが言う

「まー……じゃあこれでいいかな。とりあえず今回はアローの案を可決ってことで」

「エリダ元帥」

後ろからタウルスが話しかける。

「ん?どうしたタウルス少将」

「予算」

「あ」

結局、この会議からはなにも生まれなかった。

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