8.5 資料 絵本「わっかのゆうしゃ」(本文抜粋)

 これはほんとうにあったおはなし。


 むかしむかし、あるところで、とつぜんたくさんのばけものがあらわれて、ひとびとをおそいました。


 たくさんのたてものがこわされ、みんななみだをながしていました。


 そんなとき、まちにひとりのせいねんがやってきました。


 けんをもったせいねんは、つぎつぎとばけものたちをやっつけていきました。


 ばけものがせいねんをおそおうとすると、ふしぎなひかりがあらわれ、ばけものからまもってくれるのです。


 せいねんのひだりてには、わっかのもようがついていました。


 ひとびとはせいねんを、わっかのゆうしゃ、とよび、たいへんかんしゃしました。


 しかし、たたかってばかりのせいねんはどんどんきずついていきました。


 ひとびとをまもろうとすると、どうしてもじぶんはまもれなくなってしまうのです。


 それでもせいねんはたたかいつづけ、とうとうばけものはさいごのいったいになりました。


 さいごのばけものはとてもおおきく、くちからほのおをはきました。せいねんは、ひとびとをまもりながらひっしにたたかいました。


 やがてばけものがひどくきずつき、げんかいをむかえると、そらをおおうほどおおきなほのおをはきました。じぶんごとすべてをもやしてしまおうとかんがえたのです。


 せいねんのからだもげんかいでした。ぜんぶをまもるちからはのこっていませんでした。しかしせいねんはまよいません。せいねんはいいました。



「かみのちからをあたえたまえ」



 せいねんがそういうと、ひとびとのからだがひかりにつつまれました。そらからはほのおがふってきて、まちがほのおにつつまれました。


 ほのおがおさまり、ひかりにまもられていたひとびとはせいねんをさがしました、しかしせいねんはいません。

 せいねんはさいごのちからでひとびとをまもり、じぶんはばけものといっしょにもえてしまったのです。のこったのはせいねんがつかっていたけんだけでした。


 ひとびとはなみだをながしてせいねんのしをかなしみ、ひとびとをすくったえいゆうにかんしゃしました。


 せいねんがつかっていたけんはだいじにのこされて、いまもひとびとをみまもっているのでした。


おしまい

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