第2話 小さな足と出会い

 後継者候補、それは人間に加護を与えるため力を引き継ぐための候補者

いわば見習いに近い存在

しかしなぜ候補なのかというと、今回選ばれた子供たちがまだ後継者としても力が弱く未熟なため候補としてだった。


「…様、そろそろ到着かと」

「・・・」


長い袴の裾を引きずりながら無言のまま歩く背丈がかなり高い神

烏帽子をかぶり、目じりには紅いラインが入っている

そう、この神こそ四つの区の最高神と呼ばれている神なのだ

「では、到着を待ちましょう」

最高神は御付きの神に言われるがまま御簾の間で候補者を待つのであった。


時を遡った北区東門、付近では風が吹き木々がなびいている

そこに意気揚々としている小さな竜の姿が見えた

小竜は目を輝かせ北区の景色や、宮殿につながる豪華な道を見て若干興奮している

この小竜こそ、後継者候補の一神、青龍の加護を与える力を受け継ぐ子供なのだ

「オレ、えらい神に褒められるのかな」

褒められるようなことと言えば何もしていないのだが、やけに自信にあふれた様子で進む小竜

そして時を同じくして北区西門付近では小さな小虎が大地を踏みしめ

西門を見上げていたのだ

彼も候補者の一神、幸せを呼ぶ白虎の力を受け継ぐ子供

「うわぁ・・おおきい・・・ぼく一体これからどうなっちゃうんだろう」

後継者候補として選ばれ最高神に呼ばれたと言う事もあり、小虎は少しおびえているような様子にも見え若干ではあるが尻尾を下げながら進む。


二人の後継者候補が北区にそろった

東の青龍に西の白虎

小さいながらも力を受け継ぐ子供たち

最高神はそんな彼らに試練を与えるべく宮殿で待ち構えるのであった。


北区宮殿前

小竜は心弾ませながら尻尾を振り宮殿を見ていた

「うわぁーオレ本当に後継者に選ばれたんだー」

宮殿は絢爛豪華な装飾が施され見るものを圧倒させる

傍を流れる川や木々も他とは違う雰囲気を醸し出す

「人間に加護を与えるときはここに来るのかな!?それとも・・・」

宮殿を前にして興奮気味の小竜は独り言がなかなか止まらなくはしゃぐ

だが小竜はその時何かを感じ勢いよく後ろを振り向く

「誰っ」

「あっ・・・」

後ろを振り向くと、小竜の後ろには尻尾を下ろしながらこちらを見つめる小虎が立っていたのだ

「ぼ、ぼくは」

何か言葉を発しようと一生懸命な姿を見ながら小竜は首を傾げその答えを待つ

だが一向に言葉は帰ってこない

しびれを切らした小竜は小虎に近づき自身について語り始めた

「オレ、後継者候補になってここに来たんだ!きみは?後継者候補が二神居るって聞いたからもう一人の後継者候補??」

「あっ・・うぅ・・・」

小虎は小竜の勢いに圧倒されたのか言葉が出てこない様子だったが一度呼吸を置くとスムーズに小竜の問いに答える

「ぼくも後継者候補できたんだ、きみがぼくと同じ後継者候補なんだね」

「なんだ!喋れるじゃん!おれしゅんって言うんだ!同じ後継者候補同士仲よくしようね!」

どこまでも明るい前向きそうな小竜を目にして小虎は驚きを隠せなかった

自身と少し違う雰囲気のしゅんと名乗った竜

その明るさが小虎にはなんだかまぶしく感じた。

「ぼくは・・・びゃく、よろしくね」

互いに名乗り終え名前を知ることになる

しゅんとびゃく、姿も名前も知らなかった彼らは今ここで出会いを果たしたのだった。

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東西恋歌(とうざいこいうた) まめ 東西恋歌 @mame_tan

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