拘束して唇を存分に楽しむ話

@ymk_ka

第1話

「口は開いていた方が表情が出る」


最初はその言葉の意味が分からなかった。

自画像を描く時に教えられた言葉だ。

口を閉じていようが開いていようが、特に変わりは無いだろうと思っていた。


俺の領域内で好き勝手していたと報告を受けた男子高校生を床に座らせ、手首を背中側で縛った。

椅子に座り、少年を眺めながら反省のさせ方を考えていた時にその話をふと思い出した。


唇を横に引っ張り頑なに開こうとしないそこに、人差し指と中指を押し当てる。

こちらを見上げる瞳。

力が緩んだ隙に指を差し込みこじ開ける。

ある程度開いてしまったら閉じる力は弱くなる。

いとも容易く、まるで花の花びら開かせる程の力で口が大きく開く。


その顔を観察するために暫くそのままで放置する。


「あっ…!?、カッ、は、…、ぅッ…!」


なんとか閉じようと指を甘噛みしているが、全くもって無意味な行動だ。


「う、…うッ、…ぁっ…」


力を入れても、甘噛みしかできない。

閉じない。

敵わない。

そう、無理なんだ。

人間の構造的に無理なんだ。


閉じていて分からなかったが、少年は犬歯が特徴的で綺麗な歯並びをしていた。


見上げているのが辛くなったのか、徐々に首に力が入らなくなり、俺の指で頭をささえ始めた。口から垂れ流しになった涎が、床にぽたぽたと落ちていく。


俺は指を動かした。

2本の指で上顎をごしごしと摩った。


「ッ…、くッ、!、ぅぅ、っぅ…!!」


ぽたぽた。

ぽたぽた。


カーペットに落ちる涎がどんどんシミを作る。


徐々に頭を振り乱し始め、抵抗する。


俺は組んでいた足を解き頭に乗せ、動けないようにした。


「ぅぅぅッ!、ぅッ、うう、う…!」


動けないことをいい事に、摩る速さを早くする。


「ッ、ッ…うッ!!ふ、うう!!、ッッッ!!!」


足で顔を上げさせると、涎が俺の指を伝い、落ちた。


足を降ろし、また、口を開かせる。

糸を引き、溢れ出す涎。

それをさらけ出し、抵抗ができない羞恥心から、こちらを虚ろな目で睨んでくる。

ふ、と笑いが零れる。


それを見て顔を強ばらせ、俺の指を噛む。


俺は舌を掴み、外へ出してやった。


「へぁ」


舌の感触や温度、動きを嗜む。


「…ぁ…は、」


俺は指を離した。


「口を閉じろ。」


まるで熟した果実のような唇が、線をゆっくりと結ぶ。

両端できらめいている涎が見える。


ゴクッと喉仏が上下した。


「口を開けろ。」


口を開ける。

糸が引いた感触がした。口の中全てがまるで火にかけられたように熱い。

頭がボーッとしている。

俺は自然と舌をべ、と出していた。


さっき舌を擦られた感触が残っている。


驚いた表情のそいつ。


なんで驚いてるんだこいつ。

まあいいや、どうだ!

してやったりだぜ!


驚いているそいつの目を見ながら、舌なめずりをしてみせた。


「ふ…」


小さな笑みを零し、俺に手を伸ばすそいつは、白い歯を輝かせ、その間から舌を出し、面白そうに唇を舐めた。


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