ごっこ遊び
アラン:こんな森の中に、囚われたお姫様が居るのかなぁ?ねぇ、モル。
モル:キーッ、キュイーッ!
アラン:モル?どうしたの?
モル:グルグルグル、、キュイキュイーッ!
(ナレーション)失礼。私の魔法が不完全だったようだ。申し訳ないが少しの間、君は元の言葉に戻ったようだよモル。なぁに、少し経てばまた喋れるようになるさ。すまないすまない。
モル:キュイーっ、、。
アラン:えっと、、ボクはアラン。お付の獣モルを引き連れて旅する勇者だ。
囚われの姫を助け出して欲しいと王様から言われてやって来たが、、辺りも暗くなって来てしまったし、何も無いようにしか見えないんだよなぁ。
お姫様は、どこにいるんだろう、、。
リズ:アラン、私が道を照らしてあげる!
アラン:あ、リズ!ありがとう、そうか、君は光の妖精なんだね。助かるよ、真っ暗すぎて困っていたんだ。
リズ:本当はモルちゃんの光魔法で照らす予定だったんだけど、急遽妖精が召喚されましたー!
モル:キュッキュキュッキュッキュッキュキュッ、、。
リズ:モルちゃん、おいでおいで、こっちだよー。
アラン:あ、リズ。あの奥を照らしてくれるかい?
なにか建物が見える!
リズ:はぁーい、本当だぁー、あんなところにお城があるね!
アラン:モル、リズ。姫はきっとあそこだ。急ごう!
モル:グルグル、キュッ。
リズ:まぁそう怒らずに、モルちゃん。
大丈夫だよ、足元照らしてあげる。一緒に行こう!
モル:キュイ、、。
リズ:アラン、着いたよ。この先はリズ入れない。結界があるみたい、2人で行って。
アラン:わかった。ここで待っていてね、リズ。ここまで照らしてくれてありがとう。
フェネス:待っていたよ、勇者。そして、、お付の獣。
アラン:君が姫を攫ったのかい?
フェネス:そうさ、姫は僕の妃になるんだ。他の国に嫁がせたりなどしない。
アラン:それは姫が望んでいることでは無いよね?
フェネス:いや、姫も今は僕の術で朦朧とはしているが、そのうち僕を愛するようになる。
他の王子の事など忘れて、ね。
アラン:催眠、、?汚い手を使うじゃないか、君はただの王子様じゃなさそうだね。
フェネス:ちょっとばかり術が使える、普通の王子だよ。さぁ、我が愛しの姫リズ、こちらへ。勇者にご挨拶をしなさい。
リズ:、、はい。王子様。
アラン:リズ姫、お気を確かに!
思い出してください、貴方の本当の居場所を。
ここでは無いはずです。貴方を待っている王様と王妃様の事をお忘れにならないでください。
リズ:居場所、、お父様、お母様?
アラン:そうです、大変心配されていました。
リズ:私は、、私は。
フェネス:余計な真似を、しないでもらおうか。
アラン:人の心を捻じ曲げて、手に入れたつもりになって。本当に君はそれでいいのか?
こんな事したって、姫は君のものになんかならない。
フェネス:そんなことは無いさ。姫は過干渉な両親にずっと幽閉されて、外界との触れ合いが全くないまま急に嫁に出されそうになっていたんだ。
むしろ私は姫を救い出した側だよ。君に私と姫との仲を言われる覚えはないな。
アラン:幽閉なんかじゃない、僕は王様達から聞いたんだ。姫がその美しさと純粋さゆえに他国の王子から見初められ、言い寄られて男性不信になっていたと。そんな中で真実の愛を見つけた姫を、君は横から奪っていったんだ。
リズ姫、思い出してください。貴方を想う人達を。貴方の本当に愛する人達を!
リズ:わたし、、私は、、あぁっ、、。
フェネス:やめろ、姫が苦しんでいるではないか。
アラン:術を解くには王子を倒すしかないのか、、?
手荒なことはしたくなかったが、仕方ない。剣を抜かせて貰うよ!
フェネス:上等だ。貴様ごときちっぽけな勇者気取りが、私の剣術にかなうはずなどないことを身をもって教えてやろう!
モル:ちょっと!アタシにも出番寄越しなさいよ!
アラン:モル!元に戻ったんだね、力を貸してくれ!
フェネス:なんと。弱っこい獣かと思っていたが、魔獣だったか。
モル:失礼ね、アタシはホウキで空も飛べちゃう、赤いリボンの魔女よ!アラン、こいつムカつくから加勢するわ。
術強化魔法、タタカエール!
アラン:僕の剣が赤い光に包まれていく、、!凄いパワーだ、ありがとうモル。この力で王子の術を断ち切ってみせる!はぁぁぁああぁ!
SE:剣の交わる音。
フェネス:はぁ、はぁ。なかなかやるではないか、勇者気取りよ。
アラン:王子こそ、流石[蒼の稲妻]だな、はぁ、はぁ。
フェネス:ほう?私の、その別名を知っていたか。
ふぅ、無知では、ないようだな!はっ!
アラン:くっ、、!強い、だが負ける訳には行かない、必ず姫を連れて帰ると約束したのだ!はぁぁっ!
モル:ったく、何時間かかってんのよ。
あんたもあんたよ、早く目を覚ましなさいよねお姫様!
リズ:私の、、本当に愛する人は、、。
フェネス:はっ!
アラン:ぐっ!たぁあっ!
フェネス:?!
アラン:油断したな、これで終わりだぁぁぁぁ!
SE:剣が落ちる音。
フェネス:やるではないか、、はぁ、はぁ。
さぁ、好きなようにするがいい。
いっそのこと私を殺すか?それならば瞬時に姫の術も解けよう。
モル:やっちゃえーアラン!
アラン:、、いや。君を殺めたりはしない。
フェネス:なんだと?血迷ったか、勇者気取り。
アラン:君は君なりの愛を貫き、姫を攫ったんだ。その愛が間違ってはいても、君の命を奪う必要までは無い。術さえ解いてくれればそれでいいんだ。
姫を元の場所に返したい、頼む。
フェネス:私に頭を下げるとは、おかしな勇者だ。
、、だが嫌いじゃない。
アラン:王子、、。
フェネス:ひとつ答えろ。私にトドメを刺さないのは、単なる貴様の良心か?
アラン:、、君は王子だ。魔王じゃない。僕が打ち倒す相手は魔王だけだ。
フェネス:ふっ、、。よかろう、姫のことは金輪際諦めよう。連れて帰るがいい。
アラン:わかってくれて感謝する。
SE:パリン、となにかが割れる音。
リズ:ここは、、私は、、。
アラン:リズ姫、お迎えに上がりました。王様と王妃様が国でお帰りをお待ちになっております。
リズ:貴方は、、勇者様?
私はなぜここに、、そうだわ、庭に花を見に行ってフェネス王子とお会いして、、。
アラン:良いのですよ姫、今はお疲れでしょう。さぁ、貴方の城に帰って王様達にそのお顔を見せて差し上げて下さい。大変心配されています。
リズ:まぁ、なんてこと。勇者様、感謝致します。
(ナレーション)こうして、無事に姫を救い出した勇者とけも、、魔法使いは、国へ姫を連れ帰り、大量の褒美と豪華な宴にてその名誉を朝まで称えられ、一躍国の人気者になったとさ。めでたしめでたし。
モル:、、、。
リズ:楽しかったねー、ごっこ遊び!
フェネス:王子も最後は幸せになって欲しいものだが、、まぁ物語というものは至ってこのようなエンドになるものだしな。
アラン:途中、どこからか音がたくさん聞こえた気がするけどなんだったんだろう?
まぁでも楽しかったからいっか。
モルも最後は魔法使いに戻れて良かったね。
、、モル?
モル:なんなのよ、、私の出番少なすぎじゃないのー!
リズ、アラン、フェネス:(笑い合う)
END
とある日常 @pikorui0908
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