とある日常

@pikorui0908

とある日常

(ナレーション)お日様さんさん、風はゆるやかに流れ、木々も心地良さそうに揺れる。そんな穏やかな森に住む、動物達の日常を、ちょっと覗いてみましょう。個性的な動物達は、今日は何をして遊んでいるのかな?


モル:グル、、キュッキュッ!キー!

リズ:キー?キュッキュッ

モル:グルグル、、!キュイーっ

アラン:クルル、クックッ


(ナレーション)はて。これでは何と言っているかサッパリだ。動物さん達や、人間にも分かる言葉で話せるように魔法をかけてあげよう。

はー、それ!キミタチニホンゴハナシターイ!


モル:キュイーっぬぁ?あれ?

リズ:キー、、ってだからねモルちゃん。なんでそんなにカリカリ、、あれ?

アラン:クックッそうそう、なにか悩んでいるなら話してごらんよ、、おや?

リズ:なんかいつもと違う!口がいっぱい動く!

アラン:だねぇ。心無しか人間のように話している気がするよ。なんでだろう?

リズ:きっと神様が私たちにプレゼントしてくれたんだよ!

今ならたくさん木の実を食べれそうー!探して来なきゃっ。

モル:ちょっと。

リズ:モルちゃん、なぁに?

モル:あんたは私より木の実が大事だって言うのね?

リズ:そんな事ないよ!でも木の実食べたい、、。

アラン:まぁまぁリズ、木の実探しはボクも手伝ってあげるから。今はモルの悩み事を聞いてあげようよ。

リズ:はっ、、そうだった!ごめんモルちゃん。

で、なんでそんなにカリカリしてるの?

モル:、、、。

アラン:モル?

モル:、、退屈だわ。

リズ:ほえ?

モル:退屈、暇すぎるのよ。毎日毎日木の実や落っこちてる果物探して拾って、あっという間に夜になって私たちの巣に帰って寝て。そしてまた起きて同じ事の繰り返し。あんた達よく飽きないわね。

アラン:と、言われても。ボク達ずっとこの暮らしをして来たからね。

モル:アタシが人間に飼われていた時は毎日が新鮮だったわ。、、まぁ、時々乱暴に撫で回されてムカつく時もあったけど。

リズ:飼われる、ってどんな感じなのかなぁー?

リズ、飼われた事ない。アラン、私を飼ってみてー。

アラン:あはは、それは随分難しい注文だよリズ。



フェネス:なにやら面白そうな話をしているね。


リズ:わぁ!びっくりした。フェネスさん、どこに居たの?

フェネス:ちょっと前から見ていたよ?

アラン:君は気配を消すのが本当に上手だねぇ。

フェネス:そうかな?消したつもりはないんだが。

リズ:ねぇフェネスさん、飼われた事ある?

フェネス:残念ながら、私は昔からこの森に住む野生の一族だからね。

リズ:そっかぁ、、。

モル:ちょっと。あんた達、私を放置し過ぎじゃない?

リズ:わぁ、ごめんねモルちゃん。えっと、、なんだっけ?遊びたいんだっけ?

アラン:モルは退屈な日常に刺激が欲しいんだよね。

モル:そうよ、なにか面白い遊びはないの?

アラン:面白い遊びか、、よいしょ、っと。


アランはその器用さで、周りに落ちていた木の葉を瞬時にかき集め、一瞬で小さなカゴを作り上げた。


アラン:よし、こんなものかな。

このカゴをもっと作るから、誰が一番先にこのカゴを木の実や果物でいっぱいに出来るか勝負する、っていうのはどうかな。

リズ:木の実集め!リズやる!

モル:却下。アタシは走るだけなら負けないけど、そのカゴを背負ってる間に全部こぼれ落ちちゃうし、背中にあるカゴに1人じゃ入れられないわ。

フェネス:確かに。モルモットは2本の足じゃ歩けないからね。

アラン:そうか、、それじゃ不平等だね。

リズ:口にカゴを咥えるのはどう?

フェネス:モルは一旦カゴを置いて、木の実を入れなきゃいけないね。それに、、。

モル:、、なによ?

アラン:首からかける紐を編むにも、モルの首にかけたら首が辛そうだね。

フェネス:そういうことだね。


一瞬の沈黙が、4匹の間に流れる。


リズ:そうだ!モルちゃん。

モル:びっくりしたー。なによ、リズ。

リズ:にんげんと一緒にいた時は、何をして遊んだの?

モル:人間と?そうね、、たしか、、。

フェネス:なるほど、それは私も興味深いな。

モル:ごっこ遊び、あの子はそう言ってた。

アラン:ごっこ遊び?

フェネス:ごっこ、、何かになりきる、という事だね確か。

モル:そうそう。

リズ:なりきる、、例えば?

モル:あの子は人形とアタシ相手によくそれでひとり遊びをしていたわ。親が忙しくて構って貰えなかったから、私はいつも人形の姫を誘拐して最後は勇者に倒される、悪役だった。

アラン:悪役かぁ、辛いね。叩かれたりはしなかったの?

フェネス:人間は凶暴だからね。


モル:いいえ。やんちゃな子だったけど、あの子はアタシをぶったりは絶対しなかったわ。

悪役だって良かったの。あの子が笑ってるのを見れば幸せだった、、。

リズ:モルちゃん、、。

アラン:よし、なら皆でごっこ遊びをしよう!最後はハッピーエンドになるごっこ遊びを。

フェネス:なるほど、面白そうだね。

リズ:みんな幸せ!リズやるー。

アラン:そうと決まれば、、これをこうして、、よし、こんなものかな?

リズ:わぁ、木の葉のドレスだ!アラン、本当に器用だね。

アラン:えっと。勇者と悪役と姫だっけ?あれ、役が足りない。

モル:アタシ姫をやるわ!

フェネス:うーん。

アラン:あ。

モル:なによ。

アラン:ごめん、モル。急いでこしらえたから、サイズがかなり小さいんだ、、。

フェネス:これはリズしか着れないね、おそらく。

モル:キィーっ。じゃ、私は、、勇者?

フェネス:勇者はアランが適任じゃないかな。

そうだね、私は悪役をやろうか。ハッピーエンドで終わるなら、倒されるより説得されて改心する隣国の王子、という設定はどうだろうか。

リズ:いいと思う! リズさんせい!

アラン:うんわかった、ボクは勇者だね。

そうだね、、モルはボクの仲間とかどうかな。

モル:なるほど、仲間の美女魔法使いね!それもいいわねっ。

リズ:モルちゃんは魔女さんか!黒猫連れてホウキでお空飛ぶのねー!

モル:微妙に違う、っていうか。なんでアンタがそんな知識持ってるのかはともかく。

さっさと始めましょ!日が暮れちゃうわ!

フェネス:よし、ではやろうか。ではリズ姫はこちらへ。さぁ、ドレスを着ておくれ。

リズ:あ、よいしょっ。ぴったりー、ヒラヒラー可愛いっ。

フェネス:赤と黄色のカラフルなドレスだね。

良く似合うよ、リズ姫。さぁ、では始めようか!




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