第13話 イザベル、許しを乞われる
自身が見えない力でルイスに囚われているなど知る
(ふわぁぁぁぁ! 手を! 手を!!
無理じゃ、駄目じゃ。これはどうすれば良い?
うぁっっ!! うぁぁぁぁ……)
優しく薬指の爪を撫で続けるルイスに、イザベルはただただ体を固くして小さく震えながら耐えた。……というか、どうすれば良いのか分からずに固まっていた。
そんなイザベルの様子をにこにこと眺めながら、拒絶がないことをいいことに、ルイスは堪能する。
「イザベル、具合はどう?」
「…………」
何度かルイスは話しかけたが、イザベルは微動だにしない。
そんなイザベルの右手にルイスは手を伸ばす。
「えっ!?」
「包帯は取れたんだな。
イザベルは顔を隠していた扇を取られ、手の平を確認される。
そこには入学祝賀パーティーの時にグラスの破片を握ってできた傷があった。
ルイスは痛ましげに傷を見た後、ゆっくりとイザベルに視線を合わせた。その瞳には驚きで目を見開いたイザベルが映っていた。
「ダメっっ!!」
イザベルは
(見られたっっ!! 見られてしもうた。われの顔を!!)
見た目が全てではない。イザベルもそのことを頭では理解していた。
しかし、イザベルは今までの美しさを急に失ったように感じており、まだ自身の容貌を受け入れられなかった。
「お願い……見ないで……」
顔を隠したままイザベルは
声は震え、視界は歪む。
(あぁ、われは何て醜い。
許嫁を辞めたいと望むなら、このオニのような姿を見せればよい。なのに、嫌悪の視線を向けられるのを恐れておる)
イザベルは自身を恥じ、更に体を縮こませた。ルイスが
(はぁ……、小夜。君の震えた声が聞けるなんて。前は最期の時ですら
……何がなんでも、顔が見たいな。この愛らしい姿を
ルイスは困惑したような表情を作り、イザベルが顔を隠した方の手もとった。
「離して……」
「どうして? やっぱり俺が許せない?
イザベルを守れなかったから? それとも、別の令嬢の味方をしたように見えた?」
言われた通り手を離したルイスは、許しを乞うようにイザベルの
「イザベル、俺が悪かった。許してくれないか?」
許しを乞うことで、ルイスはイザベルの表情が一番見やすくなるであろうポジションへと違和感なく移動し、再び手を取る。
そして、その手を無理に引っ張ることはせずに自らが近付き、おでことおでこを合わせた。
「お願いだ。顔を見せてくれないか」
内心は涙目のイザベルを見たいという
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