第10話 そしてエアストへ
じゃあ吸うよ?とベルは言うと。
ベルは美香さんに向けて魔法を唱えた。
美香はヘナヘナと座り込んで
「あ~~~~吸われた感じがする。
虚脱感。ごめん、もう私先に入って
倒れてるね・・・。」
美香は、少し目が回ってるんだろう。
そういうとふらふらと魔方陣の中に
入って行ってぶっ倒れた。
「ほぼ全ての魔力を吸った。
元の量になるには回復薬飲んでも
約3日くらいかかるだろうね、
美香なら。むほほほほほ」
ベルがそう言うと、ユキちゃんが
「どれだけ膨大なんですか!
それを吸うベル様もすごいです!」
あー魔力吸われたのね、美香。
そうか、美香は魔力持ってるんだ。
・・・へぇえ。
と勇樹は悔しそうだった。
じゃあ始めるとしようかね!
このベル・ジュラックの魔法を
みせてあげようじゃぁあないか!
俺とユキちゃんも魔方陣に入った。
ユキちゃんは魔方陣の中心に、
そう・・・なんとなくかっこよく立った。
ベルはとても長い呪文らしいモノを唱える。
しかし、少し体が崩れた。
それでも唱え続ける。
右手にタクトを持ち呪文と同時に、
さらに魔方陣を描く。
「ジェル様、あれがエアストで
一番の精霊使いであり、
魔導士でもあるベル様の魔法です。
時を超え、世界を超えて今、
私達は伝説級の魔法を見ているのです。」
とユキちゃんは勇樹に向かって言う。
それ美香に絶対言うなよ?
なぜ起こさなかったのかと絶対に
バラバラにされるぞ。と、耳打ちした。
と同時に俺たちは光に包まれた。
最後に見えたのは唯さんが
倒れこみながらも笑って何かを
叫んでいる姿だった。
俺には
「ミネルヴァのことは任せときな!」と
ハッキリと聞こえた。絶対に聞こえたんだ。
そして俺達は魔方陣に吸い込まれた。
「さすがに疲れたねぇ・・・・。」
そういうと唯、いやベルは
這いつくばりながらも椅子に座り
お茶を飲んだ。
「冷めてるね・・・。入れなおすか」
数時間後、ベルは
ミネルヴァの居るマンションへと向かった。
「勝手に入るよ」そう言うと普通に、
鍵が付いてないかのように
ドアを開け中に入った。
「ドアを開けるだけでもきついねぇ、
美香の魔力を多めに吸ってて
よかったよ・・・本当に。
あの子には悪いけども。
私が死ぬよりいいだろうからね」
そしてミネルヴァの居る部屋へ入る。
「よくかんばったねぇ・・・いままで」
ベルはミネルヴァに語り掛ける。
「いい子に育てたねぇ、
サンテミリオン様だったかね、
あの子の母親、リーラの国の王女様の名前は。
さぞお喜びだろうね。」そう言うと
さらに語り掛ける。
ジェニエーベル様は最後まで
あなたの事を話してたよ。
それに私に向かって凄むんだよ。
あれは父親に似たのかねぇ、
母のサンテミリオン様にたのかねぇ。
そうだったね、貴方、
あの子は母親似って言ってたね。
あぁそうか・・・・
お前の子でもあるか。
お前をエアスト、
リーラの国があった所に送ってやるよ。
どうやらやはり滅んだらしいね、
リーラの国は。
今じゃ青の国の一部になってるらしい。
シンの森に向かうように言ってある。
あんたの生まれた街の近くだ。
行き着くには色々あるだろうが、
4日もあれば、まぁ大丈夫だろう。
その間すまないが
私の魔方陣の中に居てもらうよ、
そのままの姿で帰してやるよ。
お前が作った刀を見せてもらったよ。
あの刀のおかげであっちに帰れるんだ。
本当にいい仕事をしたよ
・・・本当にいい仕事をしたよ。ミネルヴァ
序章 ~結~
エアスト大陸物語【紫の国 改正版】 erst-vodka @east_vodka
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