屍の降る街
@nerimono5
私は不幸だ
拝啓、200X年。ヨヅカ町外
大きく 沢山の人々が住んでいるこの街。
私はこの町の端に住んでいます。
私はアオイ。高校1年生 分け合ってここに住んでいます。
いつものショートカット、緑色の袖がやけに大きいお気に入りのtシャツ、薄茶色のスカートというごくごく普通の少女。
だけど、私には家族がいません
父も母も弟も妹も兄も姉も、何も。
だけど悲しいと感じたことはないですね。だって
生まれた時から家族なんて居なかったから
そう呟きながらアオイは冷蔵庫の中を見る。 中は空っぽだった
「はぁ…」
仕方なく外へ買い物に行くことにした。
“私は不幸だ”
これは私がいつも呪文のように唱えている言葉です。なぜなら…
「あっ」
呟いた途端に衝撃がはしる。石に躓いて転けたのだ。膝から血が出る。
しかしアオイはまた歩き出す。慣れているからだろう。
公園で沢山の子供たちが遊んでいる。とても楽しそうで幸せそうで
「私もあんな風に友達が欲しかったな…」
アオイには友達が居なかった。いや作れなかったと言った方がいいだろう。
それは彼女の近くにいると不幸になるからだ。
その噂は学校に広がっていて、彼女の周りには誰も居いなかった。
コンビニに着いて惣菜コーナーを見る。
「今日もないじゃん…」
空の惣菜コーナーが視界に映る。 やはりなかった。
「なんでこんなについてないんだろうな…」
アオイは途方に暮れて帰る。町は夕焼けに染まり、公園で遊んでいた子供達は帰っていた。
人にとっての幸せって何だろう。私は幸せなのかな。
どちらにせよ今日が私の命日だから。
家に帰ってくる。いつもと変わらない風景。だけど今日は違う。
そう呟いてアオイはカーテンを開ける。奇妙な程に上に伸びている椅子に縄が置かれていた。
椅子の上に立ち、縄を首に結ぶ。
人間にとっての死はそれぞれ考え方が違う。恐れとか悲しみとか或いは喜びとか。 だけど今の彼女はそれらよりも期待の感情が大きかった。
椅子から飛び降りる前に彼女はすぅと深呼吸し昔の思い出を思い出そうとした。 思い出なんてそもそもなかった。
私は幸せが欲しい。欲しい。欲しい。 だから死ぬ。
例え苦しくても、誰かに止められようとも、死ぬ。
彼女は最後の悪あがきのように少し笑った。
「私は最後まで不幸だ」
「ガシャン!!」椅子が床に倒れた。 カーテンを開けた窓辺に真っ赤な夕日が差し込む。赤い部屋。 その中で黒い影が宙にぶら下がっていた。
「死んだ?」
屍の降る街 @nerimono5
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