『愚かなる者の影絵』

 私は影であった。私は他人ひと無しでは生きてはいけない影であった。他人は私にイメージを持った。そのイメージたちは私をかたどっていた。私は自己が何であるかをとらえることができなかった。だからこそ他人に頼った。他我は自我であった。

他人は私が愚か者だと言った。卑怯者だと言った。笑われ者と、嘘つきと。私はそれらの通りに生きた。それ等が示したものから一歩も道を外さず生きた。いつしか私は疲れ、学校から家へ帰っては―――――私は―――――を―――――が―――――諦め、床につき、意識を切った。

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愚かなる者の演劇 東 南我 @taida_sosaku395

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