『愚かなる者の狂言』

 私はおどけていた。私は一つの決断を下しているときがあった。自我とは他我が作り出す。自我とは他我であるという考えであった。私はそれに忠実であった。私を私たらしめるのがそれであったからだ。

私はおどけた。それが私だったから。何を言われようと笑った。どんな感情でいようが笑わせた。笑わせようとした。他人ひとには、この面しか見せなかったのだから、他人ひとはこれが私だと認識していたのだろうと考えたから。気持ち悪がられ笑われる。滑稽に思われ笑われる。いつしか私は疲れ、学校から家へ帰っては床につき、意識を切った。

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