愚かなる者の演劇

東 南我

『私とは何か?』

 私とは何か。私は常に問いつつ生きていた。本を読んだ。話を聞いた。結局は何も、分からずじまいであった。私とは何か。私は考えていた。いつしか私はそれについて考えていた。何がきっかけかは忘れてしまったが、いつしか追い求めていた。しかし、それが故に、私自身をを追い詰めていたというのは紛れもない事実である。自分で自分を苦しめるというのは滑稽であろう。私自身でもそう思うのだから。

これから始まる物語は、私自身の『人間失格』である。できるだけ、私の暗く憂鬱な心の内を、コミカルに面白みのあるよう語っていこうと思う。そうできなかったのならばそのときは、申し訳ない。

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