82話 岡野雄大は阿呆である

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ピロン、ピロン


俺の家で期末テストまで放課後勉強会を開催すると決まった夜。知らぬ間に4人のグループラインが誕生し、知らぬ間にグループに追加され、うるさいほどに稼働していた。

―とりま、明日の放課後からでどう?

―いいね。私、部活、明日までオフだから!

それ以降、私は土日だけの参加になりそう!ごめん!

―いいって。和花奈は無理しない程度にな

―ありがとう♡じゃぁ、学校終わったら速攻で西野の家行くね。西野、家、変わってない?あの駅前のマンション?

―おう。あそこ!和花奈、俺、学校に迎えに行こうか?

―ほんと?ありがとう!!

西野の家、一回しか行ったことなかったから不安だったんだ!!

―おー、じゃ、明日の放課後迎えに行くわ

グループラインは激熱カップル達の独壇場である。

おいこら。


―家主の予定ガン無視で決めるな。俺の都合も考えろ。

―いいじゃん。西野が忙しいなら場所だけ貸してくれれば、勉強会するもん

―奏汰は忙しいなら不参加でいいぞ!俺ら3人でやるから!

―ならよそでやれ(怒)

―すまん、冗談、許せ親友

―はぁ。

―じゃ、西野!そういう感じでよろしくね!

―いとちゃんもそれでいい?


会話は俺達3人で進んでいくが、俺のコメントの既読は3人分ついている。

恐らく、画面の向こう側で櫻崎さんが眺めているのだろう。もしかしたら、2人の会話が早すぎて、参加したいが文字入力が追い付かずアタフタしているのかもしれない、それを想像すると小動物のような愛くるしさを感じ、自然と口角が上がっていた。


宮前の確認に、数分の間があり、ピコンと動く

―はい!よろしくお願いします!


こうして、全員の合意の元、放課後勉強会が開催されるのだった。


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放課後、ホームルームを終え担任が教室を出ていったのを合図にすぐさま雄大が立ち上がる。先生の話しの間もずっと帰り支度をしていたのはその為だろう。

「じゃあ、奏汰、またな!!!」

「ああ。」

本来、勉強とは自己完結出来るものだと思うが、何を期待しているのか、雄大は今日から行われる勉強会に浮かれているようだった。

去り際に、大声で言う。

「俺、迎えに行ってくるわっ!……」


おいっ!

それ以上喋るな!!止めに入った時にはもう遅かった。


「櫻崎さんも、また後でなっ!」

いつもの調子で雄大が個人情報を大声でまき散らしダッシュで教室を出ていった。


はぁ。いつも、いつも、能天気なお前に巻き込まれて俺は...。

そう溜息をつきたい。


雄大が変な事を言ってくれたおかげで、今や俺はクラスの注目の的だ。

クラスメイトが櫻崎さんと俺達の関係について興味津々な視線を送ってくる。

正直、逃げたい。

隠れたい。

どーして、こうなった。

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