78話 宮前和花奈

問題は、どこで勉強会を開催するのか、だ。

俺、雄大、櫻崎さん。この3人が集まっても怪しまれない場所。学校の図書室....は雄大がうるさいから秒で追い出される。じゃ、教室....はクラスメイトの櫻崎さんと一緒にいる俺達への視線が痛い。ならいっそ、カフェとか、ファミレスとかで....駄目だ。放課後、櫻崎さんと噂になると世間の目にさらされ、お互い困る。どこかの家で集まると言っても、櫻崎さん家は色んな意味で無いし、雄大の家も兄弟がいて騒がしい。つまり....。

「勉強する場所、なんだが、俺の家でもいいか?」

考えあぐねた結果、俺は一番の最適解を二人に提示した。

「奏汰ん家?いいよ。広れーし景色が綺麗だから俺、好きだし!」

「はい。私も大丈夫です。」

俺の提案に2人はあっさり承諾した。

「あのさー、たまに、和花奈連れてきてもいい?」

「イチャつくならよそでやれ。」

「和花奈、さん?」

誰だかわからないという表情をしていたので教えてあげよう。

「ああ。雄大の彼女だ。栄進清女学院に通ってる。」

俺達の地区から一駅向こうの栄進清女学院高等部。そこに通っているんだ。

「チアリーディングやってるんだぜ!和花奈のチア姿めっちゃ可愛いんだからなっ!!」

やや興奮気味に雄大が食い込んでくる。

まぁ、人あたりがいいのは認めるが、あの人は怒ると怖い。


「ちょっと、誰が怖いって?」

その声に振り向くと、まさかの宮前和花奈が腕組みをして俺を睨んでいた。

「和花奈....」

「宮前....どうして....。」

俺達は突然登場してきた彼女に言葉が詰まった。


宮前和花奈。雄大の彼女であり、俺達の幼馴染。ショートヘアと編み込みのハーフアップがいつものスタイル。幼少期からチアリーディングをやっており、容姿、スタイル、運動神経抜群。やや、気が強く姉御肌(と俺は思ているが、口にするとビンタ確定なので言っていない...。)。高校はチアリーディングが強い栄進清女学院に通っている。強豪校だけあって、朝から夜までみっちりと練習があるらしい。大会前なんかは雄大がデートに誘っても断られるらしく、雄大はよく嘆いているが、それでも彼女の頑張りに活力を得ている部分は大きいのだと、よく語ってくれる。

だから、宮前と俺達の通学時間が被る事は珍しいし、めったにないのである。


「朝練は?」

俺が聞くと、宮前は不機嫌ながらも答えてくれた。

「昨日、チアの大会があったから今日は朝練休みなの。」

どーりで、ゆっくりした御出勤で。

「それより、西野、私のどこが怖いのよ」

不貞腐れた頬でぐっと、詰め寄られた。

「あー、まぁ、んー。」

俺は、ぽりぽりと頬を掻きながら、視線を泳がす。

これ以上口を開くと、平手びんたが飛んできそうだ。




本当、顔に似合わず怖い。


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