47話 もったいない青春

■■■■■

次の日、学校で隣同士の俺たちだが、素性を知っても、学校での関係が変わることはなかった。お互いに生きる世界が違うからな。

一言もしゃべらない日だってある。


「奏汰さ、せっかく櫻崎さんと席が隣同士になったんだから、もう少し仲良くなろうぜ?」

「なんで?」

いつものように屋上で昼飯を食べていた俺に突然雄大が言ってきた。

「いやー、だって、櫻崎さんだぞ?仲良くして損はないだろ。」

「別に、用が無かったら話しかけないだろ。」

「その用事を無理やりにでも作るんだよ!普通はっ!」

櫻崎さんとお近づきになれたら将来、絶対に安泰だぞっ!!

お金持ちだし、可愛いし、天使みたいだし、お嬢様だし。可愛いし、可愛いからっ!!

「お前、絶対に浮気性だろ。」

彼女いるじゃんか。

「いやいや、櫻崎さんは俺達男子の推しだから。和花奈は俺の彼女だから。」

ここ大事。全然別ものだろ?



その謎理論意味が分からん。

「これは、雄大論だ。」

雄大の事は運動ができる馬鹿だと思っていが、高2に入ってから馬鹿に拍車がかかってしまったのかもしれない。つまり大馬鹿か。

「なんだよー。その反応、ちょっとは男として反応しろよなー。」

櫻崎さんとお近づきになるって、男子の夢だぞ!!

気合い入れろよなっ!!



はぁ。まだ言ってる。


「はぁ。めんどくさい。いい。俺は孤高に生きていくから。」

手厚く拒否ると、雄大は、ぐしゃぐしゃと自分の髪を掻き混ぜていた。


「だぁー!!奏汰はマジでもったいない生き方してるっ!!」


なぜ?

当の本人より俺の生き方についてお前が気にするんだ?

てか、櫻崎さんと仲良くなりたいのは、俺じゃなく、お前だろう。


「俺じゃだめなんだよ。俺じゃ。俺はポジション的に観る専なんだよ。見守る側。」

なんだそれ。

俺は、訳が分からない気分になりながら、購買の菓子パンをかじっていた。


■■■■■


あれから3日経ったある日、偶然にも俺と櫻崎さんが日直になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る