39話 ラノベ作家、神絵師と出会う
「確か、先生が16歳でしたよね?」
先生の誕生日、冬頃だったような?
「ああ。16だ」
山本さんが俺の年齢を当ててくる。
担当編集は誕生日まで把握しているものなのか....。
「サクラザキ先生は、今、何歳ですか?」
山本さんが、知りたそうに櫻崎さんに尋ねる。
「えーっと、16です...」
櫻崎さんは、一瞬返答に迷いつつも、困ったように眉を伏せながら答えた。
「ふっほぉぉっ!!同い年?!」
変な息が山本さんの口から漏れた。
そして、目をキラキラされて首を突っ込んでくる。
「ぇ?、学校が一緒、学年が同じ、、、じゃあ、もしかして、もしかして、
お二人は同じクラスだったりします?!」
山本さん、なんでそんなに楽しそうなんだ。。
山本さんの勢いに押され、櫻崎さんがしどろもどろに返答した。
「そ、そう、ですね。
私も、に、西野君も2年2組です。」
「わぁぁ!!凄い偶然ですね!!凄い!!」
何も凄くないだろ。
学校では、彼女はお嬢様、俺は陰キャ、
住む世界が違うんだから。
「学校での虹乃先生は、どんな感じなんですか?!虹乃先生の普段の様子、気になります!」
何も事情を知らない山本さんは、
偶然が引き寄せた運命に興奮し、
目をキラキラさせて話を深めてくる。
「え?!、あっと、その....、
に、西野君の普段の様子は...、
仲の良い友達と話していたり、
休み時間は、本を読まれている事が多いかと....」
流石に、『彼は陰キャです』とは言いにくいか。
俺の陰湿な高校生活は、櫻崎さんによって、
オブラートに、優しく包まれ、伝えられる。
「なるほどぉ。虹乃先生にも友達が....」
ん?
『山本さん。何その意味深発言。
俺に友達がいないと思ってない?』
と、心の中で突っ込む。
「じゃぁ、じゃぁ、
虹乃先生は、授業中とかって、どうですか?
寝ていたりしますか?
それとも、他の事をしていますか?」
どうやら、俺は、山本さんの中で、
悪しき生徒像が出来上がっているらしい。
なんでだ。
ここ最近、締め切りを守らずバックレようとしすぎたからか?
「ぅ、うーん。ど、どうなんでしょうか。
私は西野君が授業中寝ているところは、見たことがないです。普通に授業を受けていらっしゃるかと。それに、西野君、テストじゃいつも学年トップなので、真面目な方だと思っています。」
「え?!先生、テストで学年1位なんですか?!」
「はい。西野君は毎回学年順位一位です。」
「毎回!?」
初耳だ!と目を見開いた。
そーいえば、山本さんには話してなかったな。
「あー。一応。」
自慢するようなことでもないと思っていたから。
「えー、つれないですねぇ。私、虹乃先生の担当になってからもうすぐ2年くらい経ちますよ?」
山本さんのじとーっとした視線から逃げるように目を逸らす。
「別に、話すようなことでも……」
小説を書くのに俺の情報はいらないかなと。
「そんな。担当作家さんの素性を把握するのも編集の立派な仕事ですから!」
「・・・」
別に大した素性してないよ。俺は。
「隠してるつもりはなかったけど。そっか。じゃ、ちなみに付け加えるとしたら、入試は次席。」
俺は平然と受け答えしたつもりだったが、山本さんは驚きに満ちた声をあげた。
「えぇぇぇ!!!!!次席?!初耳ですよぉぉ!!!」
次席って、入試の成績が2位ってことですよね?!
先生、めちゃくちゃ秀才じゃないですか!!
「別に。授業聞いておけば、8割は取れるし....」
凄くない。普通だ。
「うわー。先生、それ、
馬鹿を見下した天才発言ですよ?
普通は、授業聞いただけじゃ
8割なんて取れません!!!!!」
これだから秀才は嫌なんです。
「サクラザキ先生もそう思いますよね?」
何故かプンスカと怒りながら、
山本さんが、櫻崎さんに同意を求めた。
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