19話 岡野雄大は俺の幼馴染である
小説家。
特に今の俺は富と名声を獲得している名のしれたラノベ作家だ。新作もファンから期待され、毎度ハードルが上がるし、少し品のないコメントをSNSに残せば、トレンドが俺の作品で燃え盛る。俺の知ってる人なんて、何度炎上してるやら。
期待と不安。
その日々のプレッシャーだけでもメンタルの弱い人は一瞬でやられるだろう。
「って、ことで、小説家は楽して稼げる仕事じゃないんだ。」
苦労自慢みたいになってしまったが嘘じゃない。
「ふーん。でも、奏汰、小説家を辞めようとは思わないんだろ?」
「当たり前だ。1度始めると、辞めれないのが小説家ってもんだ。」
わざわざ、くだらない事言わせるな。
俺がニヤリと答えると、雄大は、
「意味が分からん」と混乱していた。
いいよ。別に分からなくても。
雄大に理解してもらおうなんて思っていないからな。
■■■■■
ついでだ、
雄大は小学生の時からの幼馴染である。
しかし、昔から、俺との性格、趣味は正反対。
話俺がインドア派ならば、雄大はアウトドア派。
俺は、万年帰宅部の引きこもり体質、人の陰に隠れてコソコソ生きることで心が安らぐ陰キャならば、雄大は、中学、高校で、サッカー部に所属し、周りからチヤホヤされることを喜べる陽キャである。
小説家の友人であるならば、休み時間は、好きな本の話で盛り上がるのだろうと思っているかもしれないが、雄大はもっぱら本を読まない。
本人曰く、活字は大嫌いらしい。
一応、友達の義理で俺の作家情報を追ってくれたりはしているみたいだが、読書と言う行為は雄大には難しいみたいだ
たまに、俺の家に遊びに来て、俺の小説を頑張って読もうとしてくれるが、必ず2・3ページで夢の中だ。
俺のベッドの上でスース―と寝息を立てている姿を見て、何度、自分の小説を睡眠導入剤として売り出そうか考えたものか。
でも、逆に小説を読まないからこそ、小説家、虹乃彼方と切り離して学生生活を送れている気もするから、それはそれで助かっていると言えるのかもしれない。
ま、小説家としては、活字嫌いな人でも楽しめる物語を書かねば、と思わせてくれる貴重な『やる気』材料であったりもするのだが...。
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