第24話 おれは幸せだ

国王はたびたび、視察の帰りにコーヒーを飲みによってくれた。

おれは間違っても、国王さまとは呼べない。

おじいさんと呼ぶようにしている。


「いらっしゃいませ」

「亭主、サンドウィッチとコーヒーを頼むよ」

「はい、国……」

「おじいさんと呼んでくれ」

「はい、では……おじいさん、ただいまお持ちします」


ちなみに、ソフィアたちにも話をした。


「えええええ!? あのおじいさんが国王さま?」

「ほんとなのか?」


ノアは信じられないようだ。


「ああ、本当だよ。おれも今日はびっくりしたよ」

「ソウマがいうならほんとなのだ」

「ああ」


みんな驚いていたが、すぐに喜びにかわった。

特に、リコとキコがうれしそうだった。


「すごいです。国王さまにも気に入られるなんて」

「そうだよな」

「「誇らしいです」」


おれはすごくすごいことなのだと思い知らされた。


しばらくすると、国王の執事がやってきた。


「いらっしゃいま……せ、あっ執事さん」

「ソウマさま、国王さまからこちらを預かって参りました」


おれは執事から受け取った。

すると、なにか看板のようだった。


「これは?」

「こちらは、王国も認めるお店という印の看板です」

「そうなんですか?」


木の板に国のマークだろうか鳳凰のようなマークが削られていた。

初めてみた。

そして大きな星を足でつかんでいる。

その星は金色に輝いていた。


「はい、こちらをお店の看板と一緒に飾ってください」

「はい、わかりました」

「こちらは、王国に収めているお店しかもらえない看板です」

「そんないいものをいただいていいのでしょうか?」

「もちろんです、ソウマさまのコーヒーは特に国王が気に入っておりますので」

「そうですか、ありがとうございます」


こんな立派な看板をもらえてうれしかった。


「また、明日から忙しくなることでしょう」

「そ、そうですか」

「はい、これからも頑張ってください」

「はい、わかりました」

「では、わたくしはこれで失礼いたします」

「はい、お気をつけて」


おれは執事を見送った。

そして、すぐに看板を取り付けた。


ギルドSランクの看板も立派だったけれど、国王にもらった看板はもっと立派だな~

ギルドSランクの看板はギルドの入口に取りつけた。

そして、国王の看板は珈琲店の入口に取りつけた。


なんか、すごく立派なお店になった気がした。


――――


次の日から、国王の看板をつけているお店ということで噂になりいろいろなところからお客がくるようになった。


「ここは国王が認めたお店なんだろう?」

「はい、国王さまにコーヒーを収めております」

「へぇ~すごいな」

「おれもそのコーヒーとやらが飲みたくて隣の隣の街から馬車でやってきたんだよ」

「そんな遠くからこられたんですか、ありがとうございます」

「楽しみにしているよ」

「はい、ご期待にそえればいいのですが」

「なにをご謙遜な」


冒険者ではなく、コーヒーを飲みにくるだけのお客も今までより多くなった。

おれとノアも休む暇がないくらい働いていた。


「ふぅ、今日も働いたのだ」

「そうだな、疲れたな」

「疲れたのだ」


「ソウマ、こういうときはみんなでお風呂に入るのだ」

「なんでだよ」

「みんなで疲れをとるためなのだ」

「なんだそれ」


また、ノアはとんでもないことをいいだした。


「ソフィアもそう思うだろ?」


おいおい、ノア!

ソフィアが困るだろ。


「ソウマさん、わたしもみなさんで汗を流したいと思います」

「えええええええええええ!?」


ソフィア、いまなんていった?


「わたしも賛成です」


ええええ?

シルスタまで。


「「いいと思います」」


リコとキコまでもが。


どうしちゃったんだ?

みんな、ノアみたいになっちゃって。


おれはそりゃあ、みんなと一緒にお風呂にはいれるなんて嬉しいよ。

そりゃあ、ねぇ……。

でも、おれのむすこが黙っちゃいないだろうよ。


「ソウマ、みんな入りたいのだ」

「わかったよ、でも……」


「わ~い、なのだ」


ノアが一番にお風呂に駆け込んだ。

そして、おれのだした答えは水着を着ること。


「なんで、水着きるのだ」

「いいの、これで」

「そうなのか?」

「ああ」


おれだって、ほんとうは裸の方がいいに決まっている。

だがしかし、ここは我慢だ。


「ソウマさん、お背中流しますよ」

「え? いいのか?」

「はい」


おれはソフィアに背中を洗ってもらた。

なんて、気持ちがいいんだろ~


「わたしもお手伝いします」


そういうと、シルスタが胸のあたりを洗いだした。


おいおい、ふたりに体を洗われてめっちゃ気持ちがいいぞ。

いくら水着だとはいえ、そんなに近づいたらお胸がふれるよシルスタ。


ぷにっ。

おぅ!

ほら、今お胸がおれの腕にあたったよね。

まあ、おれはいいけど……。


「「わたしたちも日ごろの感謝をこめて洗います」」


リコとキコ、もう洗う場所がないぞ。

リコとキコは手に泡をたくさんつけて、おれの足を洗い始めた。

おれはくすぐったくて笑ってしまった。


「あははっ、やめてくれくすぐったいよ、あははっ……」


それを見たノアが遊んでいると勘違いしたらしい。


「ソウマばかり、ずるいのだー」


え?

なにが?

おい!

ノア!

勘違いするなよ!


ノアは自分に泡をたくさんつけて、おれに抱きついてきた。

わぁ!

おれは倒れた。

ノアは倒れたおれの体に自分の体をスリスリ動かしてつけて、おれを泡だらけにした。


「あははっ、ノアくすぐったいよ」

「泡がいっぱいでおもしろいのだ」


そういってノアはおれにスリスリしていた。

それをみて、ソフィアとシルスタそしてリコとキコまで自分を泡だらけにしてみんなでスリスリしあった。

そして、子供のようにしばらくお風呂で遊んだのである。


おれはずっと、この仲間たちと楽しく暮らしていくのである。


「ソウマさん、えい!」


ソフィアが抱きついてスリスリしている。


「ソフィア、くすぐったいよ」


そして、おれはこんな可愛い女の子たちに囲まれて幸せなのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界で珈琲店開きました~気づくと一大ギルドになっていた 柚子桃しずく @momoyuzu-sizuku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ