『運命の赤い意図』
課題内容:セリフのみ、喋り方に特徴をつける
「ゆうくんってばぁ、わたしに隠れて別の女とつき合うなんて。ほんっとサイテーだよね。私とゆうくんは運命の赤い糸で結ばれてるんだからぁ。わたしじゃなかったらゆうくんの頬が真っ赤になるまでビンタしてたよぉ。よかったね、わたしで。安心してぇ? ゆうくんには何もしないからぁ。……この女には何するか分からないけどぉ。
ごめんね、ゆうくん。実はゆうくんの持ち物全部に盗聴器つけてるんだぁ。だからゆうくんがどこで誰と何をしてるか、分かっちゃうんだよねぇ。でもま、私たちの関係なら隠し事なんてなしだもんねぇ。幼なじみなんだからさぁ。でもまさかゆうくんが浮気するなんてぇ。あはっ、ゆうくんは怒った顔も可愛いなぁ。でもごめんねぇ? いくら暴れても無駄なんだぁ。その手枷、そう簡単には壊れないからぁ。心配しなくても大丈夫だよぉ、あの女を始末したら、ちゃんとゆうくんは自由にしてあげるからぁ。じゃあ見ててねぇ。ゆうくんを誑かした悪〜い女がどうなるのか。ちゃんと目に焼き付けて、いっぱい後悔してねぇ? 楽しみだなぁ、ゆうくんの悲しむ顔が見られるの。どんな顔するんだろぉ? ゆうくん、二年前の五月十七日の……ななちゃんだったっけ? あの子が死んだ時から泣いてないよね? 久しぶりに見れるのかな、ゆうくんの泣き顔。すっごく可愛いんだよねぇ、ゆうくんが泣いてるところぉ。昔はすぐ泣いてたのに、いつからだったっけ? ゆうくんが泣かなくなったの。ああ、ゆみちゃんの時からだったね、確か。四年前の十二月三日。覚えてる? ゆうくん、委員会があるって嘘ついてゆみちゃんと一緒に帰ってたもんね。知ってるよぉ、ぜんぶ聞いてたもん。初めての彼女が死んじゃってから、よほどのことがない限り泣かないって決めたんだったよねぇ。あ、そういえばあの二人を殺したの、私なんだよねぇ。ゆうくんが私を避けてたから今まで言えなかったんだけど。昔の私は甘かったなぁ。駅のホームから突き落としたりとか家を燃やすとか、その程度で済ませるなんて。私からゆうくんを盗ろうとしたんだからさ、もっと苦しませるべきだったよねぇ。でもゆうくんみたいな素敵な人なら、みんなが好きになっちゃうのも仕方ないことだもんねぇ。ゆうくんは優しいから、言い寄られたら拒めないだろうし。ゆうくんは悪くないよ。悪いのはこの女だからぁ。
だから──この女も殺っちゃうねぇ。
心配しないで、ゆうくん。今までみたいに、簡単に殺したりはしないからさぁ。できるだけ時間をかけて、できるだけ辛くて、できるだけ痛くてーー心の底から後悔できるよう、殺してあげるからぁ。私からゆうくんを奪おうとしたんだもんねぇ。その程度で赦してあげるんだから、むしろ感謝されてもいいくらいだよねぇ。何から始めようかなぁ。爪を剥ぐ? 指の骨を折る? それとも喉を焼くのが先かな? こんな女の声、二度と聞きたくないもんねぇ。ゆうくんはどれがいいと思う? だーかーら、いくら暴れても壊せないってぇ。なんかライオンとかを繋ぐ時に使うやつだから、その手錠。まったく、そういうわがままなところは小さい頃から変わってないんだねぇ。そういうところも可愛いけどぉ。でもそうだねぇ、やっぱり喉は最後にしようかなぁ。前の二人は悲鳴をあげる間もなく死んじゃったし。たまには聞いてあげるよ、懺悔代わりに。
んー、じゃあ腕からいくねぇ? バール取ってくるからちょっと待っててぇ。あ、逃げようだなんて思っちゃだめだよぉ。そもそも逃げれないと思うけど。ごめんねゆうくん、そんな格好させちゃって。それもこれも全部あの女が悪いんだから。ちょっとお仕置きするだけだから、あと少し頑張って!
えーと、あったあった。バール。こういうの、跡がつかないように買うの大変なんだからねぇ? よーし、三、二、一でいくからねぇ。
さーん、にぃー、いーち、ばーん。
あ、ごめんねぇ。勢い余ってあばら骨までいっちゃったみたい。ざんねーん、一つ楽しみが減っちゃったぁ。でも見てよゆうくん、この腕。ほら、ぶらーんぶらーんって。それに聞いた? 今の声ぇ。口は塞いでるのに、すっごい汚い声だったねぇ。次は外してやってみようかなぁ。
ほらもう一回。左腕、いくからねぇ。
はいどーん。
あははっ! ゆうくん、見たぁ? 今の顔、面白かったねぇ。人間ってあんな醜い顔できるんだねぇ。私、びっくりしちゃったよぉ。殺すまでもなく恥ずかしさでもう二度とゆうくんに近づけないかもねぇ。あはははははははははははははははっ‼︎」
「あーあ、もう死んじゃった。まだ両腕と両足折って、爪も剥いで、喉も焼いて、歯も全部折って、失明させて、鼓膜破っただけなのになぁ。でも、これで邪魔者はいなくなったからぁ。これからもずっと二人でいようねぇ、ゆうくん」
大学課題小説まとめ 時無紅音 @ninnjinn1004
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