第十四話
街頭テレビやネットニュースでは、今でも殺人鬼に関するニュースが流れている。
例えば、”彼は高校生でも毒牙にかける”とか、”誰彼構わず人を殺す悪魔”だのと彼を罵倒する物が多かった。そんなニュースが流れている中、街頭テレビが一瞬だけ砂嵐になってしまった。
「何だぁ?」
「バグか?ったく、しっかりしてくれよ……」
等と不平不満を零す民衆。そして砂嵐が元の画面に戻った時、其処に写っていたのは真っ暗な空間に、ぽつんと置かれた椅子に手足を縛り付けられた誰かが座っている姿だった。
『ア”ア”……、写ってるか?』
『問題ないぜ、アニィ』
そういう声が画面の向こうから聞こえてきた。これは、テレビ局の意思が全く介入していないものだろう。
『これを見てる哀れな阿呆共、俺は最近テメェ等が好き放題罵倒している殺人鬼の、新島瑞樹だ』
その言葉に驚く視聴者達。それを見透かしたように、彼は嗤い出す。
『クハッ。お前等が驚き、手を止めている状況が容易に想像できるがそんなことよりも』
そこで彼が椅子に縛り付けられている人物の顔を覆っている布を剥いだ。椅子に縛り付けられていたのは、連日テレビに出演している殺人鬼に拐かされた哀れな少女の母親と父親である。
『お〜い、起きろォ?』
そう言い瑞樹は二人に呼び掛けるが起きる気配はない。その状況に彼は
『オイオイ……、ほんとに微量だけしかやってないんだろうな?』
『当たり前じゃないっすか。副作用で死なれちゃ困りますからねぇ。それに、そんなに効力の強いものは使っちゃいませんぜ?』
と、軽薄そうな男の声がする。彼もまた瑞樹と同じように国や警察に追われている者で、名を重要指名手配犯『
『ったく、手間掛けさせんじゃねぇよ…』
そう言うと瑞樹は右手に持っていた銃、ベレッタを母親に向ける。そして引き金を引く。
パンッ!
そんな音がその部屋に響くと、次に女性の悲鳴が上がる。瑞樹が椛の母親の大腿部を撃ったからだ。
『うるせぇな……。テメェがさっさと起きりゃこうはならなかったんだがな』
『結構無茶を言いますね、アニィは。分からんでもねぇけど』
そういう二人はやはり悪人なのだろう。椛のためとは言え、このような行動は誰の目から見ても、許されざる行いである。そんな事を気にもしては居ないだろうが。
『私を離しなさい!!』
『…マジで?』
『この状況が理解できてんのか?』
母親の発言に呆れる悪人二人は煙草に火を付ける。そして瑞樹が二人の対面の席に座る。
『なぁ、お前自分の立場わかってんのか?』
『かんけいn、キャァァァァァァァ!!』
先程自身が撃ち抜いた部分に迷わず足を振り下ろす瑞樹。その際に鳴ってはいけないであろう音もしていた。
『だから、うるせぇって言ってんだろォがよ。聞けよババア』
『うっわ。あんまりやりすぎたらダメっすよWW』
二人の悪党がこれから何をしでかすのか、そして何が目的としてこの様な事に及んだのかなんて言うのは誰も想像できなかった。
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