第3話 アストレリオ学園
「ゼオ・オークロウ……改皇歴284年6月6日生まれ、15歳。
「入学試験では実技にて2位の好成績を収め、授業態度も良好。教師からの印象もいい……優等生だな」
早朝、ゼオは医務室にて若い男の医師に診察を受けていた。
自身にまつわる記憶がないことを告げると、彼は学園に記録されたゼオの情報をこうして教えてくれた。もちろん、記憶喪失のゼオからしてみれば自分のことだという実感はなく、他人事と変わらない。
「……孤児だったんですね。僕って」
「そうだな。だが親の有無など気にすることではない。堂々としていればいい」
安心させるように微笑みながらそう言うと、彼はそのまま話を続けた。
「昨日、君はランシア・スティンバルの護衛任務の最中、戦闘となった。その戦闘で頭部へ強い衝撃を受け、記憶の混乱が起きており……それが今朝になって記憶喪失という形で現れた、と我々は考えている」
「残念だが、記憶を戻す手段は時間に頼るしかないと思っている。今の我々としては、手の打ちようがないというのが現状だ」
医師の説明をゼオは落ち着いて聞いていた。少ししてからふっ、と彼が手を挙げた。
「あの、記憶を封印するような魔法ってないんですか……?」
「あるにはあるが、習得難易度はかなり高いぞ。学園にも使える者はいるが、数はかなり少ない。動機の問題もある」
ふうむ、とゼオの隣でヒューグが唸った。
幽霊となっている彼は、今はゼオにしか姿が見えない。
誰かが記憶を封印したのでは、ヒューグはそう仮説を立てていた。だが実際のところ、医師の言う通りだ。だが、聞きたいことはまだまだある。
「ゼオ、もう一つ聞いてくれ。お前のお姫様のことだ」
「……あの、もう一つ。僕には忠誠を誓った女性がいるそうなんですが」
ゼオの言葉に、医師は首を横に振った。
「残念だが、書類にはそれらしい情報はなかった。力に成れなくてすまないな」
「しかしまあ、なんというか……そのお姫様とやらは薄情だな」
薄情?とゼオが聞き返した。気を悪くしないでくれと前置きしてから、医師は続けた。
「三大国家の姫から破格の条件で勧誘されたのを断るような忠義に厚い配下が、記憶喪失で困っている。それなのに、まるで姿を見せない」
「随分、薄情なお姫様だと思わないか……?あるいは、君の勘違いでそんな女性、最初からいないのかもしれない」
「その話、もう広まってるんですね……」
話の広がる速さに苦笑いしつつ、ゼオは姿の見えない主のことを思う。
医師の話は、筋が通っていた。そんな人物はいないと考えるのがシンプルだ。そう結論付け、ランシアの元へ行き頭を下げ、自分の発言を撤回する。そして彼女の騎士となる。それが最善だろう。
ヒューグもまた、そう考えていた。記憶を失う前のゼオから聞いた話も、今では半信半疑に思えてくる。
本当に、ゼオが仕える女性は存在するのか。いるとすれば、どこに。
室内にチャイムの音が響いた。学園も目覚めを迎え、動き出す時間だ。暗く沈んだ雰囲気のゼオを元気づけるように、医師は軽く肩を叩いた。
「そう落ち込むな。まだ入学したばかりだろ、学園生活はこれからだ」
「不安になったら、いつでも来なさい。話相手くらいしかなれないがね」
優しい言葉に、ゼオは素直に頭を下げ礼を言った。彼もまたどういたしまて、と微笑みながら返す。
「体調は問題ないが……今日は授業に出るか?休んでも構わないぞ」
「いえ、出席します。ここに居ても始まりませんから」
まっすぐそう言い放ったゼオに、医師は好感を抱いた。逆境に負けない気概を持つこの青年は、きっといい騎士になるだろう。
「そういうことなら、改めて……ようこそ、アストレリオ学園へ」
*****
医務室を後にし、ゼオとヒューグは誰もいない廊下を歩いていた。ひとまず寮の自室に戻り、授業の準備をするつもりだった。ヒューグはふわふわと浮かびながら、物珍しそうに廊下のあちこちをきょろきょろと見回していた。
「と、ここですね」
鍵を開け、部屋に入った。ベッドとテーブルと机しかない、物の少ないシンプルな部屋だった。
「なんというか、面白味のない部屋だなあ」
「いや、人の部屋を何だと思ってるんですか?」
ヒューグはふわふわ浮かびながら、既に自分の部屋かのようにあちこち物色している。ゼオも机の引き出しを開いてみたが、教科書や筆記用具ばかりで私物と言えるものはない。生活感の薄い部屋だった。とりあえず分かることと言えば几帳面な性格であろうことくらいだ。
「なあ、ゼオ。これからどうするんだ?」
荷物をリュックサックにまとめ、授業の準備を済ませると物色を終えたヒューグがいきなりそう聞いてきた。
「どうって?」
「真面目に授業に出て、記憶が戻るのを待つのかって聞いてんだ。いつになるのかあてもないってのに」
「やることなら決まってますよ。僕の主を探すんです」
本気か?と聞き返すと本気です、と返してきた。ゼオは真剣な様子で続けた。
「確かに、そんな人いないかもしれませんけど……僕はいると思います。ヒューグさんは、僕から話を聞いたんでしょう?」
「そりゃ聞いたけどさ……」
「……大体、俺の言うことを素直に聞いてていいのか?幽霊だぞ、俺。それも三百年ものの年季が入った怨霊だ」
ヒューグは頭をぼりぼりかきながらそんなことまで言い始めた。冷静になれば、自分の存在はかなり怪しい。
だが、ゼオは気にしないようにけたけた笑っている。
「怨霊はこんな風にダベったりしないと思いますけど……」
「それに一人で心細い中で、結構ありがたいんですよ?いろいろ話しかけてくれて」
ある種能天気なゼオの様子に、ヒューグは自分だけあれこれ気にしているのが急に馬鹿らしくなった。
「はいはい、分かった分かった。お姫様を探すってんなら、満足するまで付き合うよ」
「ヒューグさん……ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げたゼオにヒューグはいいからいいからと繰り返す。
どうせ、ヒューグだって行く当てもないのだ。ゼオのやりたいことに付き合うのも悪くないだろう。ただ、彼には一つ懸念があった。
(問題はこの姿、だよな……)
どういうわけか、今のヒューグの姿はゼオにしか見えない。
幽霊になるのは当然ながら初めてで、不意に誰かに姿を見られればまた変な噂が立ってしまう。ただでさえランシアの一件で注目されているゼオからしてみれば致命的だろう。
そのままの姿ではなく、何か誤魔化すことはできないだろうか。
そう思い部屋を見回すと、棚の上にポツンと置いてあるぬいぐるみが目に入った。何の動物かパッと見ではわからない、素直にかわいいとも言いにくい味のあるぬいぐるみだった。
「……あの、ヒューグさん?」
急にぬいぐるみを掴みじーっと見つめだしたヒューグにゼオは心配そうに声をかけた。ヒューグは意を決すると、頭からぬいぐるみに突っ込んだ。
「えぇっ!?」
するすると、ヒューグの身体がぬいぐるみに収まっていった。あっという間に全身が吸い込まれたかのようにぬいぐるみへと消えた。呆気に取られていると、もぞもぞと小さな手足を動かしてぬいぐるみが動き出した。
「嘘でしょ……」
「ふふん、どうだ!」
ぬいぐるみにその身を宿したヒューグがふん、と胸を張った。動きが付けば微妙な外見の人形でもそれなりに愛らしく見えてくる。中身が三百年前から蘇った幽霊、ということを考えなければ、だが。
「……まあ、これならリュックに詰めて持ち運びもできそうですね」
だがこのぬいぐるみは結構大きく、無理やりぐいぐい押し込んでも頭のてっぺんがはみ出して見えた。更に押し込もうとするとヒューグが本気で怒りだしたので、ひとまずこのまま行くことにした。
荷物を確認し、部屋を後にすると廊下に人の気配を感じた。
「ゼオ!」
声のしたほうに向くと、毛むくじゃらで頭が狼の大柄な男が立っていた。ゼオが何か返事をする前に、その男は駆け寄り力強く抱きしめてきた。
「お前!無事だったんだなァ!心配したんだぞコノヤロウ!!」
「いぃっ、いてててて……!」
毛皮に包まれながら馬鹿力に悲鳴をあげてると、彼はぱっと離して申し訳なさそうに頭を下げた。
「悪い!心配だったんだ……それで、アレだろ?記憶喪失だって」
「オレはファンガル。記憶を失う前のお前とは、まあ仲良くやってたんだ。昨日の任務にも一緒に参加してたんだぜ」
「オレは無事だったんだが、お前は大怪我したって聞いて……そのうえランシア様の勧誘を蹴って、今朝になったら記憶喪失って、どうなってんだ一体!」
いや、俺に言われても。そう言い返す前に皆まで言うなとファンガルが止めた。
「困ってることがあれば言ってくれ!オレも力になるからよ。いいな、なっ!?」
圧の強さに素直に頷けない。なんでそんなことしてくれるのか、ゼオはファンガルに聞いた。
「いやア、オレこの外見で苦労してんだよ。今の時代ここまで魔物寄りな獣人も珍しいしさァ」
「お前はそういうの気にしないで友達になってくれたし、助けになりてェんだよ」
あと、普通に課題とか教えてもらった恩もあるし、とファンガルは続けた。
見た目こそ厳ついものの、彼はいい奴そうだ。喜怒哀楽がはっきりしてるのも、気楽で付き合いやすい。
ゼオは素直に、自分の主のことを聞いてみた。
「じゃあ、さっそくなんだけど……俺の主、知らない?」
その言葉にファンガルの耳がピンと立った。
「ああ、ランシア様の勧誘蹴った理由もそれだよな。もったいねェことしてさー……」
「残念だけど、オレは何も知らねェ。主がいるとか言うのも初耳だ」
やはり、彼も知らない。自分は親しい友人にも、秘密の主のことは知らせていなかったようだ。
「主人を探すってんなら、手伝うぜ。何でも言ってくれよ」
「ファンガル……ありがとう」
ファンガルの言葉に素直に頭を下げると、彼は気持ちのいい笑顔で応!と答えてくれた。彼とはこのまま、上手くやっていけそうだ。
「今すぐ探したいところだが、まずは授業に出ないとなァ……この後座学なのは知ってるか?教室まで一緒に行こうぜ」
「お前メシは?」
「医務室で食べた」
「へー……ウマかったか?」
「別に、普通だったかな」
ほー、とファンガルの気の抜けた返事を聞きながら二人は並んで教室まで向かった。
*****
ファンガルに案内され、ゼオは座学のある教室に付いた。両開きの重々しい扉をあけると、中は半円のホールになっていた。椅子と机が規則正しく並べられ、中央の教壇に向け階段状に下っていっている。
席はほとんど先に来ていた生徒で埋まっていた。皆雑談や授業の準備をしている。生徒たちはなんとなく、4つにかたまっているように見えた。
「オレたちは向こうな」
ファンガルの従い、ホールの端の方へと向かう。
移動していると視線を感じた。最初は一人か二人、些細なものだったのが次第に気になって仕方なくなるほどに。覚悟を決めてちらっと見ると、ほぼ全員がじいっとこちらを見つめていた。
「うわっ……」
「ハハハ!有名人だな、ゼオ」
思わず声が出たゼオをファンガルが笑う。
注目される原因は言うまでもなく、ランシアの誘いを断ったせいだろう。それが一体どんな奴なのか、部外者からすれば気になって仕方ないのだ。
とにかく、ゼオはファンガルを視線の盾にするように一番端の席に座った。視線を気にしないよう自然体を心掛けながら、授業の準備をしようとリュックサックを開くとぬいぐるみのヒューグが呑気にしゃべり出した。
「おう、勉強か。がんばれよ」
ヒューグがそう言い切る前に、急いでリュックサックを閉じた。
「ん?」
「なあ、声しなかったか?」
「……いや、別に」
そうか、とファンガルは気にしないでくれた。ため息を吐いてから、恐る恐るリュックを開く。
「……何考えてんですか、隣に人がいるって言うのに」
「いやあ、すまんすまん」
声を抑えながらぬいぐるみの姿で可愛らしくテヘペロ、とヒューグが謝った。
ゼオにとってはまったく可愛くなかった。ただでさえ大勢の視線にさらされ緊張が張り詰めていたのに、更に気分がどっと疲れた。
気分転換する間もなくガチャ、と教壇横の扉が開き白髪交じりの男性が出てきた。一気に室内が静まりかえり、男性の足音だけが響く。教壇に着くと低い厳格な声音で話し始めた。
「座学を担当するギュンターだ。授業を始めるが……今回から、騎士科の生徒も加わるようだが、最初に言っておく」
「敬意は知ることから生まれる。これから仕える主人がどういう歴史を辿り、何をしてきたか。それを知らんうちに抱く敬意など吹けば飛ぶような軽いものだ」
「諸君らが心から敬意を払える主人に仕えられることを願っている……では、始めよう」
ギュンターの指示に従い教科書を開いた。内容は歴史に関するものだ。この世界に何が起きたのか説明されている。
「知っての通り、この世界では三百年前まで魔界と呼ばれる異世界からやって来た魔物と人類の戦いが続いていた。人類は追い詰められ、存亡の危機にあった。そんな状況の中で、魔物を率いる魔王を倒すため少数精鋭の討伐隊が組織された」
「その中心人物となったのが、ランメア・スティンバル女王だ」
主の名を呼ばれ、もぞもぞとリュックからヒューグが顔を出した。彼の話では、彼もまたその討伐隊に参加していたという。
ヒューグはゼオの開いた教科書を勝手にぺらぺらとめくった。そして、あるページで手を止めた。
「……姫様」
かつてのヒューグの主人がそこに描かれていた。肖像画という形ではあるが、三百年ぶりに見た主の姿にヒューグは胸が熱くなるのを感じた。
ギュンターの解説が続く。
「討伐隊はリーダーであるランメア女王と、その護衛を務めたエルジラン王、真魂教会のユーセトラ猊下の三人で構成され、各地で魔物と戦い続けた。そして、魔王の元に辿り着いたのだが……」
やはり、討伐隊にヒューグの名はない。ヒューグも不思議そうに教科書の中に自分らしき記述がないか探している。
「ヒューグさん、本当に討伐隊にいたんですよね?」
「本当だって……なんで俺だけハブられてんだ」
「それより、姫様はそれからどうなったんだ……?」
ヒューグが教科書を読み進めるより早く、ギュンターの話がその答えを教えてくれた。
「討伐隊は魔王を相手に善戦したが、勝つことは出来なかった。魔王城から撤退に成功した彼らは、人々に討伐失敗を責められ、人々からも追われることとなった」
「───っ!」
怒りで身体が震える。姫様は第一に人々のことを考えていた。戦火に傷つき悲しむ人々のために泣くことが出来る人だった。何故守っていた人々に責められなきゃならない。
怒りをぶつける相手はとっくの昔にいないことは分かっているが、それでも怒りは収まらなかった。
「……一方で、魔王は討伐隊との戦いで負った傷を癒すべく本拠である魔界へと帰還した。だがそこで腹心の部下の裏切りに遭い死亡した」
は?
思わず声が漏れた。
仲間たちと打倒を誓い合った強敵が、部下の裏切りという形で呆気なく倒されていた。自分たちの旅はいったい何だったのか。さっきまで抱いていた怒りが呆気なく消えていた。
「魔王の死は魔物たちに大きな混乱をもたらした。魔物全員に人間界から魔界への帰還命令が出ていたのだが、混乱や各部隊の思惑もあり帰還率は半分に満たず多くの魔物が人間界に残ることとなった」
「この時期、改皇歴元年の数年前に当たる時期は大変な混乱が起き分かっていることは少ない。多くの魔物の流入による人類国家の崩壊により、資料の散逸が著しいからだ」
「確かなことは、人々から迫害を受け表舞台から姿を消していたランメア・スティンバル王女が再び姿を見せたことだ」
「彼女は信頼のおける部下と共に新たに国を興し、救いを求める人々を集め導いた。時には自ら畑を耕し、剣を取って戦うことも珍しくなかった」
「当時の混沌に満ちた世界にて、彼女の存在は人々の希望だった。人間であれば身分や性別を問わず受け入れた彼女の興した国こそ、現代における三大国家の一つ、
一方ヒューグは自分の死後、主がしていたことに思いを馳せていた。
迫害されてもなお人々を助けようとしたとは、さすが姫様だ。いや、むしろ迫害程度で姫様が人々を見捨てるはずがない。自分は彼女をよく知っている。
そして、そんな人の騎士であることを誇りに思う。
ただ……ただ、やはり傍で彼女を支えたかった。彼女が命じてくれれば自分は何でもできるのに。寂しさを覚えながら姫様のその後の生涯が記された教科書を読み進めた。
『その後、ランメア王女は討伐隊で生死を共にしたエルジランと結ばれ、二男一女を授かった』
……は?
「はあああぁぁぁっっ!!??」
びくっと身体が跳ね、ゼオは急いでリュックを抑えつけた。教室中の視線がゼオに集まっていた。
「……ゼオ・オークロウ、何か不満でもあるのかね?」
講義を中断されギュンターが不機嫌そうに尋ねてきた。何でもありません、すみませんと平謝りし、リュックの中を覗き込んだ。
「ちょっと!何考えて……っ」
中でどんより落ち込んでいるヒューグを見て、ゼオは責める気になれなかった。すっかり肩を落としてしょぼくれうなだれている。
「……どうしたんですか?そんなに落ち込んで」
「……あいつ、姫様と結婚してたのか」
「故郷に許嫁がいるって話してたのに……姫様と」
よく分からないが、よほどショックだったようだ。
「剣の道に女は不要とか言っておいてよぉ……いや、姫様を守るよう託したのは俺だけどさぁ……!」
失恋したかのように落ち込むヒューグに、ゼオは何と声をかけていいかわからなかった。
「……そのお姫様のこと、好きだったんですね。ヒューグさんは」
「馬鹿っ!!俺と姫様はそんなんじゃねぇんだよっ!!」
ええー……メンドクサ……。
悪酔いしたオッサンのように荒れはじめたヒューグを見て、ゼオはそっとしておくことにした。
その後も、ギュンターの講義は続いた。内容は、三大国家の残る二つについて。
一つは、
もう一つは、
それと、それらに属さない少数の国家によって、この世界は成り立っている。
こうして時間が経つにつれ世界の混乱も落ち着き、戦火からの復興が始まった。
一方で魔界へ逃れた魔物たちが再びこの世界へ現れることはなかった。魔王を討った部下が次代の魔王となり、人間界への干渉を禁じたらしい。こうして長い間、人間界と魔界は隔たれたままだった。
「……だが五年前、三大国家共同で精鋭を派遣し魔界を調査する計画が組まれた。調査隊は魔界への往復に成功し、およそ一年前に再度の人類侵攻を企てていた魔王の討伐に成功した」
「この第二次魔王討伐隊は三百年前の魔王討伐隊に匹敵する英雄だ。彼らは本学園にて教員も務めている。機会があれば、教えを乞うといい」
「そして、彼らが魔王討伐に用いたのが精霊の力を借りた魔導の鎧、
そこで授業終了を知らせるチャイムが鳴った。
「では、今日はここまでとする。予習復習を忘れないように」
生徒たちはばたばたと荷物をまとめ教室を後にしていく。ゼオも伸びをしながら片付けを始めた。
ヒューグのことは、まだそっとしておくことにした。
「ゼオ、次は実技だぜ。外行くからな」
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