君を最期にみた12月24日
結煇
君を最期にみた12月24日
君にあったのはいつだっただろうか…
君は覚えているだろうか、僕が君に想いを告げた日のことを
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君をみたのは大学の図書室で探し物をしているときだった。
もちろん、そのときはあまり気にも止めなかった。
ただ、それから何週間か友人と話している君を目で追うようになったんだ。
君が仲が良さそうな男子と話していて、ふとした瞬間に笑顔を見せた君に僕の心臓が引き締まったような、そして黒いなにかが口から出てきてしまいそうなそんな気持ちになったんだ。
君はもしかしたら知らないかもしれない。
僕が君を目で追っていたということとか
「あ、ああああ、あの!!!あ、あなたが好きです!!!ぼ、僕と付き合ってください!!!!」
慌ただしかったでしょう。
たくさん色々な告白のしかたを練習したのに結局ありきたりな言い回ししか出来ない僕を君はどう思っていただろうか。
「私なんかでよければ、ぜひ」
君が少し笑いながら承諾してくれたことは僕にとって物凄く嬉しいことだったんだ。
目の前に見えている景色がモノクロの世界から色鮮やかな世界になるっていうことを初めて実感した。
苦しかった胸が擽ったさや嬉しさ、心弾むような楽しい気持ちで一杯になったのを感じた。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
あれから数ヶ月が経った。
世間はハロウィンからクリスマス一色になってきた。
木々はあっちこっちでライトアップされ、今日の君とのデートがとても楽しみになった。
君は女の子らしく、淡いピンクのコートを身に纏い、ハーフアップにした髪に茶色のシュシュがとても似合っていた。
そのことを君に伝えると照れて耳を真っ赤にしながら感謝の言葉を伝えてきた。
可愛い、そんな言葉が君にぴったりと合っていた。
そのあとは君と買い物をしたり、ゲームセンターで遊んだりした。
夜のクリスマスツリーのライトアップも一緒にみた。
そんな幸せで一杯になり、帰ろうとしたその時だった…
僕の目の前にトラックが突っ込んできたんだ。
あっちこっちに車体をぶつけながら、だ。
運転手は顔を真っ青にしていて気が動転しているように見えた。
ブレーキを踏むどころかアクセルを踏んでいるようでもうスピードで突っ込んでくる。
避けている暇はない。
君を僕の側から離さなきゃ
そんな思いで君をおもいっきり突き飛ばした。
ごめん、ごめんね。
おもいっきり突き飛ばして。
僕のすぐ目の前にはもうトラックがいた。
痛みに身構える。
───ぶつかるッッッ!!!!!
ドンッっという鈍い音と共に僕の身体は空を舞った。
ぶつかった衝撃と地面に打ち付けられた衝撃は本当に一瞬だった。
気がついた時にはもうどこも痛くない。
痛みを抑える成分でも出てしまっているのだろうか。
朦朧とする意識のなか君が必死に何かを訴えているのが聞こえるような気がするよ。
でもね、もう何も頭に入ってこないんだ。
君を突き飛ばしてしまった。
君にこんな姿を見せてしまった。
君を僕がもう少し早く家に帰してあげられていればこんな目に合わなかった。
あぁ、ごめんね。
突き飛ばしてしまったせいで君の膝に怪我をさせてしまって。
泣かないでくれ
僕が惚れた笑顔を見せて
君の笑った顔が一等好きなんだ
ごめん、ごめん、ごめん
どれだけいっても足りない
けどそれだけは言えるよ
「君に惚れさせてくれてありがとう」
君にこれだけは伝えたかった。
君は僕をいつも違う形で惚れさせてきた。
それはもう毎日が楽しかったよ。
だから、ありがとう
なんか、眠くなってきたよ。
そろそろお別れの時間が近いのかもしれない。
血を流し過ぎたのかもしれない。
最後に
君のそばにいられなくてごめんね、
幸せにしてあげられなくてごめんね、
最期がこんな形になってごめんね、
今まで、短い間だけど付き合ってきた日々を、
僕にくれて
ありがとう
君を最期にみた12月24日 結煇 @yuzuki6
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