最終話  婚礼、狼狽える僕

 僕とアンナの婚礼の日がやって来た。

 僕は、19歳になっていた。

 アンナは、21歳で、ますます綺麗になっていた。


 腰のくびれたドレスを優雅に着こなし、くせ毛をこの日は、丁寧に解してもらって、高い位置で結っていた。

 それに、銀色のティアラがとても映えてるんだ。

 今までで一番、綺麗なアンナだ。


 三賢人は入れ替わりが行われ、何故か、マークの旅の時に世話になったコンラッドお兄さんが、新しい賢人になった。


「僕のアンナ、僕のアンナ、僕のアンナ~」


 あれ以来のアンナの口癖だ。


 僕がやっぱり、結婚は早いよ~~と言うと、この言葉を言って、ニヤニヤしてくる。

 それで、とうとうこの日がやって来てしまったという訳。


 コンラッドお兄さんに何度か、銀の森にある娼館で練習!?して来いって言われたけど、娼館のイメージが僕には悪すぎて、固く誇示したんだ。


 本家の姫の婚礼に、光の神殿の神官や、巫女は全員参加した。

 派手ではないが、古式ゆかしいものだった。


 神剣の間で、神剣に挨拶もした。

 僕は、当代の神剣の主でもあるので、コンラッドお兄さんの真似をして、神剣に対して恭しく、礼拝して神剣を抜いて見せた。


 その場にいた神官や巫女からは、感嘆の声が漏れる。

 剣を抜いた時に、あの銀色の人が現れて僕に、


『アンナレッタを頼む』


 と言われたんだ。

 僕は黙って頷いた。

 他の人には、見えてなかったみたいだからね。





 ♦




「ちょっと待って!!アンナ!!君、そんなに大胆だった!?」


「何のことですの~?さあ、タクト様も勇者になのですから、早くお脱ぎになって!!」


「それは、今関係ないと思うよ」


 婚礼が終わって、光の神殿の貴人の部屋に泊まらせてもらう事になったんだけど、その時からアンナの様子が変なんだ。

 目がトロ~ンとして、色っぽくなってる。部屋に入った途端にドレスを脱いでるし……

 これは!!アンナじゃないよ!!


 アンナは、僕の服を脱がせ始めて、二人ともスポッポン!!


 アンナが僕の顔をグイと近付けて、いきなり口づけてきた。


 わあ~僕のファーストキスをアンナに奪われた!!


 わ、わ、わ、僕の(自主規制が)熱くなってきた。


 でも、どうするか分からないよ~


 <仕方ない。俺に任せろ>


「風の大将!?」


 何故か、僕の精霊が話しかけてきた。


 <風の奥方が相手だ。生まれる子は、風の加護の強い子になるだろうなぁ>


「やっぱり、アンナは奥方と、条件付きで契約してたんだな」


 <姫さんは、お前が思ってるより奥手だぞ>


「この状態でそれは嘘だと思うよ!!」


 アンナは、僕をベッドに押し倒して、僕の(自主規制)を舐めてきた。

 僕の(自主規制)は爆発寸前になった。


 <ここからは、俺に任せろ>


 大将が言ってきたので僕は、身体の力を抜いて風の大将にすべてを任せたんだ。


 結果、僕はアンナの中に入って行くことが出来て、(自主規制)にも成功した。


 翌朝は遅くまで二人とも寝ていた。


 目が覚めたのは二人同時くらいだった。


 アンナは、頬を赤らめて、


「これからもよろしく」


 って、言ったんだ。


「うん」


 と、僕。




 ♦



 1年後と2年後に年子で男の子が生まれたんだけど、この子たちは、銀の髪に銀色の瞳を持っていた。


「あり得ない遺伝じゃない!?二人が二人ともって!?」


「なら、タクトは私を疑うのか?」


 アンナは、かつて自分の母が味わったであろう苦しみを僕に投げかけてくる。

 いや、

 アンナがそんな女じゃないことは、僕が一番知ってる。


「私の容姿が稀だっただけの事だ。その証拠にお前以外のロッソもサヤも三賢人たちも喜んでいる。それに、お前は前世の影響が強く出ているから黒髪だが、もとをただせば我が家へ繋がる家系だ。素に戻っただけだよ」


 アンナは、笑って言うけど僕は、納得いってない。

 神の子孫であるエル・ロイル家は、あの銀色の人の血と外見を重視してるんだ。


 その環境で、金茶巻き毛と青い瞳の外見の良くアンナは、よくひん曲がらずに生きてきたヨ。

 だけど、アベルも、タケルも僕の息子だって証拠があるんだ。

 パパ、ホクトと僕と同じ所にある、手の平のほくろが、四人とも同じ所にあるんだ。


「アンナは嫌じゃなかったの!?ママがヴァーレンに帰ってしまって?」


「そうだな、恨んだな……小さなころは……でも銀の森の精霊たちは、私をロイルの姫と呼んでくれていた。精霊は嘘はつかない。だから私は胸を張って、ロイルの姫として生きて来たんだ」


「ごめん、ツラいこと話させたね。家族がバラバラなんて良くないよ。僕たちは、ずっと一緒だよ」


「タクト、約束だからな。お前は、約束を破るなよ!!」


 そういえば、アンナは以前にずっとそばにいると約束した精霊と別れたんだった。

 アンナは、潤んだ目で僕を見つめてきた。


「約束するよ。もし破ったら殺しても良いよ」


「マジだぞ!!」


 僕たちの会話に、アンナのパパがビックリしていた。


(完)




 これ以降の話につきまして。


 アンナとタクトの長男アベルの孫の時代にシードック帝国は、再び魔族に蹂躙され、ひ孫にあたるアルベールが、地球から転生した水の精霊リノと大活躍する

【夢で逢いましょう~莉乃の想い~】

 同じく次男のタケルのひ孫のテオドールが出ている

【元カノに会ったら、冒険者ギルドに登録させられた件】があります。


 なお、シードック帝国は、作者作の別作品【メアリ・タオ物語~英雄の影には魔法使いがいる~】の後半で建国部分が書かれております


 作品数が増えて来て、最早作者も分からなくなってる錯乱状態


 ご迷惑な作者ですが、ご拝読頂ければ幸いに存じます。



 2023.4.19             


             実生(mio)  

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魔王を倒した僕、勇者になったので神の子孫の姫と結婚しろ?僕の意思は無視!? 月杜円香 @erisax

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