第34話 獅子ではなく犬である
はっきり言って会いたくも無ければ苦手意識すらある。
負け犬と言われればその通りなのだろうが、獅子ではなく犬であると気付き大人しく引っ込んでいるのだから自分の置かれている立場も分からず牙をむき出して大型犬へ吠えて叫ぶ小型犬の様な奴よりかはマシであろう。
そこらへんは評価して頂きたいものだ。
しかしそれを表情にだすのは一社会人の大人としてはあり得ない態度であるという日本人としての価値観がある為できるだけ笑顔を維持しつつ心の中では『さっさと何処かに行ってくれ』と願いながら【絶色】のダグラスと他愛もない世間話をしていく。
はっきり言ってお前の世間話など全くもって一ミリたりとも興味は無いし、なんなら俺はお前の事が苦手だと言えれればどれだけ楽だろうか。
三つ子の魂百までとは言うが前世の魂まで引き摺っている辺り、だからお前は前世でも今世でも凡人の枠組みなのだと言われている様にすら思えて来るし、実際的を得ていると自分自身を見て思う。
「それで、こちらの学生さんは?」
「ああ、今回弟子を取ってね。今日はその弟子の為に来たようなものなんだ」
そしてダグラスとの会話は俺の弟子へと変わり、俺は今日は弟子の為に来たことを告げながら弟子であるレヴィアを前に出す。
「初めまして、【万色】の弟子のレヴィア・ド・ランゲージと言います。今回はあの有名な【絶色】のダグラスさんに会えて光栄ですっ!!」
そしてレヴィアが自己紹介をするのだが、一瞬だけダグラスは驚いた表情を見せるも直ぐに元の優男の表情へと戻るのが見えた。
「これはこれは、なるほどなるほど。あなたが弟子を取ったと聞いたときはビックリしましたが、これで納得しましたよ。【万色】と呼ばれていたレンブラントさんをご存じの方でしたら、弟子になりたいという者がいても何らおかしくないですからね」
「やめてくださいよ。あの二つ名は俺には大それた二つ名ですよ」
「またまた。様々な属性魔術を全て頭一つ高いクオリティーで使いこなすあなたはまさに【万色】とう二つ名が似合ってましたよ。それではそろそろ宮廷魔術師の試合が始まりますので俺はこれで」
「はい。頑張ってください」
そしてようやっと俺の前からダグラスという黒歴史が消えて行く。
天才で、容姿も良く、偉ぶらず、年収も良く、宮廷魔術師、何でこんな人をサーシャは恋愛対象に見れないのか、結局俺には分からなかった。
どうやら前世と同じで今世でも女心が分からない所まで引き継いでいる事だけは分かった。
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34話が抜けていたようです(*'▽')貼り直します
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