白いハンカチ
ツヨシ
第1話
世の中には霊感があると自ら言う人もいる。
俺の周りにも。
そう言う俺には霊感などない。
そもそも幽霊なんてものは、全く信じてない。
あんなものがいるわけがないと、幼い頃から強く思っていた。
そんな俺も高校生になった。
今日が初登校だ。
学校近くまで来た時に、目の先に妙な人が立っていることに気づいた。
長い黒髪で、体つきも女に見える。
真っ白な和風の服を着ていた。
おまけにその顔には、白いハンカチが張り付いているのだ。
それは横になった人の顔に、ハンカチをかぶせたもののように見えた。
――白い服、白いハンカチ……。
その時思いついた。
白い和風の服。
あれは死に装束ではないのかと。
死んだ人が着る服だ。
その上顔に白いハンカチとは。
驚いて足を止めて見ていた俺だが、そのうち俺以外の誰もがその妙な女に反応していないことに気づいた。
まるでそんな女なんかそこに存在していないかのように。
――見えてないのか?
どう見ても誰一人として、女は見えていないようだ。
そうわかった時女が、白いハンカチを顔に張り付けたまま俺の方を見た。
するとそれなりに距離があったにもかかわらず、女は一瞬で俺の目の前まで来た。
――ええええっ!
ハンカチの下の部分が動いた。
「やっと私に気づいてくれる人が現れた。ずいぶん待ったわ。もう二度とはなさないわよ」
女はそう言ったのだ。
終
白いハンカチ ツヨシ @kunkunkonkon
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