第70話 若葉萌ゆ

 散り桜。


 という、風情もあるそうで。


 桜吹雪が舞い散る幻想。

 花びらのじゅうたん。

 花筏はないかだ


 それぞれ風情、確かにありますね。


 桜花の移ろい、頻繁にウォーキングしていると、つぼみ、開花、満開、そして散り際と、運が良ければすべて見られることがあります。


 今年はわりと見られました。

 桜が咲く時期にウォーキングに出られたのは少なかったのですが、今年は開花から満開までが短かったこともあって。


 満開過ぎてから見られる、散り桜。

 花はまばらになるものの、その枝の先にはまた違う風情が。

 若葉萌ゆだす。

 若々しい新芽には、花とは違うエネルギーをもらえる気がします。

 例えば、アオハル、少年のそれのような。

 中学生くらいかな?

 もう少し下かな?

 これから伸びようとする、柔らかなそれもまた、乙なもの。


 桜、いいですよね。

 蕾も、開花も、満開も、そして若葉萌ゆだす姿も。

 葉桜だって。

 秋の紅葉は一瞬、すぐに落葉ですが。

 冬木立もそれはそれで。

 すべて、愛おしいです。


 葉桜の季節が待ち遠しい。


 実は、一年のなかで一番好きな季節が、新緑のころだったりします。

 秋の風情も好きですが、甲乙つけがたいですね。


 春は私にとってはあまりいい記憶なく、また花粉症やほこりっぽさ、黄砂などでアレルギー症状が、が、が……!

 けっこう、苦しいのです。


 それから抜けて、梅雨に入る前の、「さわやか」が一番似合う季節。

 五月は「五月病」と気鬱きうつもありますけど、それを抜きにすれば、季節感が、その爽やかさが。

 何より、好きです。


 日本の四季はそれぞれに風情ありますが、葉桜の青々とした雄々しさ。

 花が散れば、新芽はみるみる伸びて、青年期を迎えたように、エネルギッシュに、葉を大きく茂らせる。

 空をも隠すほどに。


 それもまた良し。


 気温は上がっていくんだけれど、湿度は低くて汗は少ない。

 ウォーキング、スポーツや運動にも最適な季節。

 ちょうどゴールデンウィークのころというのも、なかなか趣深い。


 今年の花粉は多い!!


 でも、これを抜ければ……。

 あと少しで……。

 思い切り伸びをして、深呼吸。お外で。

 万緑ばんりょくの山々を見つつ。


 そんなどうでもいい話。

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