第56話 エンタメの原点

 自分語り。


 はるか昔、高校二年生のころ。


 時期はさすがに忘れましたが、二学期以降であったことは確か。


 私は保健委員でした。


 一年生の前期後期通じて保健委員でして、先生に請われてもう一回。


 二年生のその時期の保健委員は保健や医療に関しての発表会がありまして、保健委員にもなじんでいるならと、なり手が少ない時期のそれを頼まれたのです。


 その年は「薬」に関して。


 何回も念入りに打ち合わせ重ねて、いざ!


 クラスのみんなの前、教壇に立って。


 結果は……。


 無難。


 そうとしか言いようがない、手応えのないものでした。


 不満。


 自分では、自分の仕事に対して。


 保健の先生方には「よかったよ」といってもらいました。相方となったもう一人の保健委員は「助かった。いてくれてよかった」と私を認めてくれていたとも伝えられました。


 しかし、自分はやっぱり、不満しかありません。


 何故か?


 発表時のクラスの雰囲気、これが悪かった。

 眠たくなる授業そのもの。

 あからさまに机に突っ伏し寝ていた、運動部の姿も教壇からではよく目に入ったものです。


 さらに追い打ちをかけられたのは、他のクラスの発表の見事さ。


 いろいろ小道具を用意して、エンタメに徹して。


 思い出すたび


「やり直したい!」


 強烈にうずきます。


 無難で失敗がなかった、だからこそ。


 もっともっと人目を引く演出、心に残る言葉で。

 必要なことだけを詰め込んだ退屈なプリントを配り、それを読み上げるだけでなく。

 まじめなことを、まじめに堅苦しくやるのではなく。

 眠くならないようにエンタメ盛り込み出来たこと、絶対にあったはず。


 独りよがりになっていなかったか。

 仲間ともっと相談すればよかったのではないか。


 この時の後悔とも、やり残しとも言える痛恨の感情が心に刻まれているからこそ。


 私はエンタメを強く意識します。


 読まれなければ意味がない。

 楽しんでもらえなければ読んでもらえない。


 そのためにはどうすればいいのか。

 日々、模索しています。


 小説、物語を読んで楽しむだけでなく、その面白さが如何に生まれるのかも考える。

 また、番組制作の裏側なんてものも参考にしています。

 「お化け屋敷の作り方」など、エンタメ施設の仕掛け人の話もよかったですね。


 それでも、まだまだ足りない。未熟、未熟。

 「カクヨム」様に来て、いろんな文章読めば、なお打ちひしがれるばかり。

 あの時の痛感がよみがえってくるよう。


 これからも研鑽けんさん重ねますが、これはもちろん個人的な話。


 そんなどうでもいい話。

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