キャプチャー3『バーナー』

 少年少女は、長い階段を駆け上がり、外に出た。ちょうど森と畑の間だった。

 畑には住民の姿が見えたので、少年少女は森に走った。


 走っていると、段々と熱さを感じてきた。おそらく、『バーナー』に近づいているということだろう。

 この星を落とすには、とりあえず守護者を倒して、気球を浮かせる仕組みを壊せばいい。

 少年少女は、迷わず『バーナー』に向かっていった。


 『バーナー』の守護者は、『栗鼠(ラタトスク)』。緑色で角の生えた、大きなリスらしい。

 問題は、どうやって倒すのか。少年少女には画期的な方法など思い浮かばなかったが、捕まえてから考えよう、という話になった。


 どんどん熱くなっていく。森が森として存在しているのが不思議なくらい熱い。

 ふと、建造物らしきものが見えた。とても大きな、金属で出来た何か。住民の姿も見える。

 それと同時に、ゴーという音も聞こえてきた。おそらく『バーナー』から『球皮』へエネルギーを送っている音だ。


 少年少女は、住民達に見つからないよう気をつけながら『栗鼠』を探した。

 そして、見つけた。


 火山口のような場所の近くに、『栗鼠』はいた。

 さてどうしたものかと思った矢先、幾人の少年少女が動いた。どうやら『星』によっては、運動神経の良い者がいるらしい。


 そうして捕まった『栗鼠』は、落ち着いた少女の手の中にいる。愛猫を抱えるような手つきではなく、汚れた雑巾を持つような手つきで。

 落ち着いた少女は火山口の縁に近づいた。静かな少年を筆頭に手を繋ぎ、落ちないようにして。そして落ち着いた少女は大きく手を振りかぶり、手の中でもがく『栗鼠』を、火山口の中に投げ飛ばした。

 『栗鼠』は、現実のリスとはかけ離れた悲鳴を上げながら、グツグツとマグマのような何かが泡立つ中に落ちていった。


 落ちた後も少しの間くぐもった声が聞こえていたが、それも聞こえなくなった頃。

 急に熱さが無くなった。


 少年少女は、守護者の一体『栗鼠』を倒したのだ。

 少年少女は喜び、次は『バスケット』に戻ってそちらの守護者も倒そう、と話した。

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ホシオトシ けーいちさんin排水の陣 @6player

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