ヘタレと友達

「はあああああああ????」

 昼休み、教室内でちさとが顔を青ざめさせながら叫んだ。

 周りから奇異の視線を向けられて気まずい。

「ほ、保留にしたって馬鹿なの!?アホなの?どうしたの?え...?...まじ?これ現実...」

 ちさとは気が済んだのか叫び終えるとこちらを見つめながらため息をついた。

「で?...くそ童貞のお馬鹿さんはどうして七海さんからの告白保留にしちゃったのかな?」

「口悪いな!?」

「事実じゃん」

「...」

 ちさとは何故俺の行動が信じられないのか、視線を右往左往させている。

「で、なんで?」

 ちさとの声音はいつもの能天気ではっちゃけた物と打って変わってどこか冷たい。

「前に話した通りだよ...正直、これが恋なのか分からないって言うか。だって明らかに今の俺って七海先輩に依存してるけど、同じ風に思っていた元カノには今何の感情も残ってないんだよ...それってただ依存したい、安心を享受していたいだけなんじゃないかって思ってさ」

 大切だからこそそんな軽い気持ちで首を縦に振りたくない。

「...もう、君は本当に相変わらずというかくっっっそ面倒くさいというか...」

 ちさとはどこか可笑しそうに微笑みながら、俺のおでこにデコピンしてくる。

 ほんのりとした痛みがじわじわと広がっていく。

「なら、それを伝えないと。言っても伝わらないことの方が多いけど、言わないと伝わらないんだよ」

「......」

「しょうがないなあ~親友として人肌脱ぎますか!ちょっとこれ貸してくださいね~」

 ちさとが俺のスマホを奪い取ってくる。

 何のつもりだろうと、思っているとちさとがスマホの画面を見せてきた。

 ......LINEのようだ。

『今日、家に帰ってたら話したい事があります。』

『うん。わかった』

 もちろん、俺がこんなメッセージを送った記憶はない。

「...お、俺は俺のタイミングで」

「はあ、君は女心がわかってないよね~こういうのは早ければ早いほど良いの!...七海先輩もあんまり遅いと、気持ち冷めちゃうかもよ?」

「.......ありがとう」

「ん。まあ、がんばってね」

ということで、俺は後の学校の時間このことで頭がいっぱいになり何も入ってこなくなってしまったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

失恋したら委員会が同じ美人な先輩に慰められて修羅場になるラブコメ はなびえ @hanabie

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ