僕を見る君の目
白川津 中々
■
哀れで惨めで情けなかった。
鏡に映る自分の姿、預金額、仕事、生活、全てが駄目で、駄目が俺を構築していた。
夜毎床に潜って「こんなはずでは」なんて泣き言を落とすのが嫌だった。職場で叱責され口ぶるのを噛むのが屈辱だった。安い飯を食い身体がみっともなくなっていくのが耐えられなかった。歳を重ねるのが怖かった。
俺はどうしてこうなったのだろうかとふと思う。人並みに、ただ人並みに生きたかっただけなのに、どん底で、地の底で苦しまなければならないんて、あんまりな仕打ちじゃないだろうか。テレビを観れば年収一億の女社長。ネットには再生回数数万のVチューバー。世間は俺ではなく、こいつらを求めた。こいつらの生活を豊かにする事を選んだのだ。どうして、どうして、どうして。俺はこの世界で地に這いながら、他者の餌にされ、見下され続けながら生きていかなければならない。何故こんな理不尽が、何故……
あぁ、そんな目で見るな。どうして俺をそんな蔑んむんだ。やめてくれ! 水を買っただけじゃないか。君に迷惑をかけたか? なにかしたか? していないだろう! なのに! なのに! あぁ! 君は幾つだい!? まだ、そういう事はしてないよなぁ! あ、あ、あ、あ、あ! 君が悪いんだ! 世界が悪いんだ! みんなみんな! 俺を蔑ろにするのが悪いんだ! そうじゃなけりゃ! こんな! こんな……
白濁に穢れた君を見る。
「ようこそ地の底へ」
そっと一言添えて、俺は再び君を味わった。
僕を見る君の目は、もう変わっていた。
僕を見る君の目 白川津 中々 @taka1212384
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