とりあえずで始める、ちょっとした話。

新佐名ハローズ

とりあえずで始める、ちょっとした話。

 

 

エイヴォン・サマセット(以下:エイサマ)「……とりあえずソレ触んな。ってか、ナンで工房ココに居んだよ?」


ノカミ・サマヤテ・ミツミネ(以下:ノカミミ)「何でってそら、アンタに会いに来たんやん」


エイサマ「邪魔するんやったら帰って~」


ノカミミ「何でそれ知ってんねんな。イントネーション気持ち悪いし」


エイサマ「気が散る。こちとら魔道具コイツでメシ食ってんだよ」


ノカミミ「知らんがな。アンタどうせ並列処理マルチタスク持っとんねやろ? ウチの相手なんか片手間で出来るやん」


エイサマ「オマエ、片手間で相手して欲しいか?」


ノカミミ「そら本音はしないわ。でも反応無いよりはマシやわな?」


エイサマ「……で、ナニ言って欲しいんだ? どこぞのクソ甘ドーナツグラブジャムンみたいなのがお好みか?」


ノカミミ「アンタが? アホちゃうん」


エイサマ「構って欲しいんならけなすなよ……。じゃあアレだ、こないだ発表されたロスターシャ女史の……」


ノカミミ「他の女の話は却下」


エイサマ「論文の有用性と応用について、天下のノカミ大先生サマに御意見が訊きたいんだがな?」


ノカミミ「アレなぁ。まぁ言いたいことは解るけど、ウチとは方向性がちゃうし。あとパトロンへのウケ狙いアピールが露骨でかんわ」


エイサマ「気になんのソコかよ。そりゃあ俺も取り立てて興味のある内容じゃ無かったがな」


ノカミミ「ほんなら話題に出しなや」


エイサマ「暇潰せっつったのはソッチだろ? 四六時中工房ココに詰めてんのに、適当な話題なんざそうそうあるかよ」


ノカミミ「なら全力でウチに構い。そんなん5分やそこらでちゃちゃっと出来るやろ?」


エイサマ「5分て無茶言うな、オマエじゃあるまいし。せめて7分だわ」


ノカミミ「……むぅ」


エイサマ「のわっ、ナニしてんだよくっつくな! 線がブレるわ!」


ノカミミ「そんなもんでブレるかいな。直接描いてへんのに」


エイサマ「そういう話じゃ ………誰か入ってきたらどうすんだ」


ノカミミ「知らん。こんなトコ来んのはどうせ知り合いやろ」


エイサマ「………はぁ。外の積層結界はやりすぎだ。バランロッテらへんが勘違いしたらややこしくなんだろ」


ノカミミ「まぁた余所ヨソの女出す。ウチがんねんから他に手ぇ出しなや」


エイサマ「出してねぇ。オマエがキレたら街ごとブッ飛ぶだろうが」


ノカミミ「そこまでアホちゃうわ。精々ブルクンカン方面の小山が消えるぐらいや」


エイサマ「根こそぎかよ。あそこのジイさん連中にどやされんの俺なんだかんな?」


ノカミミ「あんな魔鉱石バカどもなんざ、アダマンタイト辺りを渡しときゃ嬉々として黙るわ」


エイサマ「軽く言うなぁおい。 ………分かったよ。後で多少は手伝えよ?」


ノカミミ「まかしとき。アンタの波紋のクセまでバッチリ再現したんで?」


エイサマ「それは精巧な偽造っつうんだよ。オマエなら出来んだろうけど」


ノカミミ「ハイハイ、しょうもないコトうとらんとよ出る」


エイサマ「おい、上着ぐらい取らせろよ。流石に肌寒いだろ……」


ノカミミ「そんならウチが温めたるから気にしなや」


エイサマ「それじゃあ腕しか暖まんねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

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