第3話 海の向こう

ー4日後。

『もぉお別れかぁー。。寂しくなるなぁー。』


『ちょっと、泣かないでくださいよ。』


『まぁー、またいつでも帰ってこいよ。』


「今までありがとうございました。それでは、行ってきます。」


『ああ、元気でな。。』


そう言われ皆に背を向けようとした瞬間

タタタタ


「リサさーん!」


何かを隠し持っているエリカが来た、


「な、エリカ、」


「リサさん、、もういっちゃうの?。」


「うん、」


「そうですか、、リサさん、これ!」


そういうと赤、黄色、オレンジ色のお花の冠をプレゼントした。もちろん、こんな地下に花など咲いているはずがない。


「外に、出たのか?、」


「うん、」

不満げに頷いたエリカの頭を優しくリサは撫でた。


「そっか、、ありがとう、嬉しいよ。」


「あの。また、会えますかね、どこかで、」


「会える、会えるよきっと、」


「やくそく、ですよ?」


「ああ、やくそく、必ず守る。」


そう言うと地下鉄の線路を奥へ進んでいった。


「リサさーん!!、お元気でぇーー!!」

エリカは姿が見えなくなるまでずっと、ずっと手を振り続けた。。


「きっと。会えるよね、」




肩掛け鞄に2日分の食料、地図を頼りに大陸の内側から国際防衛軍養成学校への船が出るラトル港まで向かう、

ここからラトル港まではかなりの距離。


ーあれからどれくらい歩いたのだろう。とうに14駅分は歩いた。


15駅目に向かっている時、前に人の影がした。


(人か?気のせいか、)


気にせず歩こうと足を進めた瞬間眩しい光が目を襲った。

明かりのない道を歩いていたせいでかなりきつかった。


すると手にバタフライナイフが。殺す気まんまんだった。

スパッ

とっさに避けたが右腕をかすめた。


目の感覚が戻ってくると白い水色かかった髪と緑色の瞳の者がいた。


「ッチ、」

スパッ、スパッ、問答無用でナイフを振ってくる。


リサは次に振り上げようとした右腕を蹴り、ナイフを落とさせた。


すると彼女は左腕を後ろに隠した。


(もう一本あるのか?、)


すると距離を詰めた彼女は左腕を出すと共に右腕でリサの頬を殴った。

左腕はダミーだった。


(くっそ、考えてやがる。)


素早い相手の動きに対応するリサ。

ただ闇雲に相手を速く殴っている。感覚任せ、リサはそう感じとった。


大体拳がくる位置を予想できるようになった。

(右の脇腹か。)


すると相手の腕を掴みバランスを崩させ右足を出し、つまづかせた。

咄嗟にナイフを拾い。相手の目の前に突きつけた。


「誰だ、」


「っく、」


「言え、、」


「綾口、サトリ、」


「何が目的だ。」


「普通に悪い奴と思っただけ。」

なぜかサトリには謎の冷静さがあった。


「わかった、」


「もしかしてお前、国軍学校に行くのか?」


「ああ、」


「すまなかった、」


「別に、」


「そーいえば名前聞いてなかったな。」


「リサよ、」

そういうともう一度歩き出し始めた。

「私も同行していいか?どーせ行くとこ一緒だし、」


「好きにしろ、」


前と違うところは隣に人がいる。


足が痛くなると休み、お腹が減ると飯を食べる、そしてまた歩く、


23駅目(ラトル港セントラルセンター)に到着した、

「ついたな、」


「ああ、」


家を無くした人で賑わうホーム、数十段ある階段を駆け上がり、早速港へ向かった。

そこには数百名は乗れるボート、ざっと200人くらいの女性が集まっていた。

ボートには国軍のマーク、


「海って、こんな青かったんだ、、」

リサはポツリと呟いた、

「そーだな、久しぶりに見たよ。」


もちろんこの二人は海など12年ぶりだった。


「この奥の島、国って今、どーなってんだろーな、、」

リサは難しいそうな顔をした、


「それを調べるための国軍だろ、」


『もうすぐ出港します、まだ搭乗していない方はお乗りください、』

そうアナウンスが入ると

《ゴォー》と轟音が走った


「もうこことお別れかぁー、受かればだけど、、」


「悔いがあるのか、」


「しらね、」

サトリは少し口角を上げた。


あたりには嗅いだことのない、なんとも言えない潮の匂いが二人を包んだ。












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戦線少女 イケヒロ @ikehiro0711

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