第2話 まだ、堕ちてない

 あの出来事が起きて4年後、AIロボットの不具合が多発し、地上は混沌とし、人は死に、綺麗な緑も失われつつあった。。


人々は唯一安心安全でいられる地下鉄で皆暮らしていた。。。

食事は月一にくる国際防衛軍の支給の食糧のみ、


ーーそんな中、一人、どこか悲しそうな目をして紫色の髪、、いつもつまらなさそうな顔をしている少女がいた。。


「リサ、今日の食べもんだ、、」


「ん、」


「いつもそんなんじゃ、前には進めないぞ」


「わかってる。」


「年は16だろ??ほら前むこーぜ??」


「生きてる理由が……」


「生きてる理由だって??復讐とかそんなとこだろ?」


「もぅ、ほっといて」

そういうと彼女は支給されたパンを頬張って

「復讐か、、、」

どこか悲しそうな声で呟いた。。


『おい見ろよこれ!』『なになに?!』

『さっきさ国防の人からここに16歳以上の女性いねーか?と聞かれて紙もらったんよ』

『なになにえっと、国際防衛軍養成学校??え!!あの?』『あーそれね、滅多に入れないやつでしょ?』『確かいるよな一人、、』


それを聞くとリサはその場から姿を消した。


ー国際防衛軍養成学校 そこは国際防衛軍に入る優秀な兵を養成する学校である。各地から勉強、運動の才能がある子が集まり、入るのが困難、

入試には武器別の身体テスト、国語、英語、数学の学力で測られる。。


「ここにいたの?、リサさん」

声をかけたのはここにきて初めて普通に会話できた相手、エリカだった。


「なんだ、エリカか、、」


「みんなリサさんの事を探してましたよ??」


「………無理、、、」


「どうしてですか?」


「…文字、書けない、読めもしない。。だから行ったって恥晒し。。どうせ入れないし。。」


「…。。あのね?、」

そうエリカが言うとリサは俯いた頭を上げた


「そんな事言っちゃ、母さん悲しむと思うなー、、、リサさん、ほんとは行きたいんでしょ??」


「うん、、行きたいよ、、、行ってあの日の復讐してぇーよ、、」


「なら、」

《ドカッッ》

手を壁に叩きつけた、

「ならじゃない、むり、なんだよ。。」

目をエリカの方へ向けると顔を真っ赤になった姿があった。。


「うぅぅ、、ひ、ひどい、、」


「いや、これは違ッ」


「リサさんのバカ!、もー知らない!!」


そう言い残したエリカは明るい方へ姿を消した。。。


ー次の日ー


『リサどこ行ってたんだ、みんな探したぜ??』


「……、、ん、、」


『そーいえば昨日さー』

《ガサガサ》

男はかんからパンフレットを取り出した。。


『国防の人からこれもらったんだ、リサ、どうだ??』


そう言われるとリサは地面に目を逸らし。無言でその場を立ち去ろうとした時

腕を掴まれたような感覚をした。

少し覗くとそこにはエリカの姿があった。。


「もう逃げないでください。。」


「わかって、」


「わかってないです!!」


「………」


「昨日は、、悪かったです、、」


「ああ、こちらこそ、、けど嬉しかった、、こんな堕ちた奴を気遣ってくれて、、じゃあ。。」


「堕ちてない。。」

エリカはポツリ呟いた。

「堕ちてなんかない!!」


「!?」


「腐ってもなんかないです!!リサさんは、堕ちてなんかないです!!!」


「どーいう事だ。。」


「ほんとにどーでも良くなければ復讐なんて考えません。。」


「けど、、入試まであと1週間。。」


「せっかくのチャンスです、チャレンジしないと、復讐できない、ただつまらない毎日を送るだけの、堕ちた奴になっちゃいます。。リサさん。。」

そう言うとリサはエリカの頭を優しく撫でた。。


「ありがとう、本当にありがとう、」


「は。。。はい、、」

照れ顔なエリカを見るとリサも顔を赤くした。


そう告げると、リサは明るい方向へ歩いて行った。。その背中はまるで希望を抱いているようだった。。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る