第七章 第一節 人の繋がりを知って……
アルボルズ山脈の西側を越えると、懐かしい光景が飛び込んできた。故郷だ。だが、その先にあったはずの故郷の草原は暗雲が多い、雷光が
人間は奴隷にされ働かされているがやがてこの毒にかかり帰らぬ者となる。人間と交わることで生まれた半魔か魔物以外住めぬ大地となった。その魔都の城に暗黒竜王ヴィシャップが支配する。なぜ俺は大蛇の姿となったのか、そしてかつての大地を取り戻せるのか? ミスラの剣の力で目覚めた大蛇は思いをはせた。
大蛇の姿になると普段遠くて見えぬものが見える。城下町にさまざまな魔や半魔が暮らしているのか、住宅が多数みえた。だが、魔の大群を要しているであろうこの国にたった一人で光の大蛇の姿といえども単独で攻め入るのは危険であった。
城下町を離れ人や魔がいないことを確認して瘴気の残る草原につくとまばゆい光を発してもとの姿に戻った。そこから歩いてなじみの近所の遊牧民の集落に向かった。だがそこはすでに滅ぼされた後だった……。
仕方なく再び黄金の大蛇の姿となって大空で飛んでいく。北方にたしか村があった。だが冬には越冬できず、ここで固まって過ごすのである。だが、大蛇は寒さに弱くとてもたない。北への道は危険だった。そこで西に進路を変えた。
その集落はさまざまな遊牧民が魔やペルシャ帝国から逃れて一大都市を形成していた。様々な言語が飛び交うバザールもあるという。さっそく近所の林に降り、元の姿に戻って街へと向かった。
そこはテント村だった。ろくに水の確保もできぬ状態で騎馬隊が水を運んでいる状態だった。衛生状態は最悪で幼児の死体がころがっていた。いつでも逃げ出せるように転々としている模様だった。そこに一人で難民として入っていった。
情報を得るためだった。しかし、魔軍が再び攻めてきた。集落全員が終りを確信しながら戦士の踊りをはじめ、葉を吸い、熊の毛皮を着て狂戦士となる準備をしていた。特攻するつもりだったのだ。そこにアルトゥスは光の剣を持ち、一人で闘った。魔の軍は跡形もなく、光に消えていった。
歓声がわきおこり、絶望の村に希望の光が見えた。
騎馬民族はアルトゥスを先頭に河のある魔の村に攻め入った。光で消し去ったが、物陰に隠れて不意打ちする魔物が後を絶たなかった。友軍がどんどん死んでいく。しかし、アルトゥスの前に立ちはだかると逃げていった。勝てないことを知っていたのだ。
この勝利の噂は騎馬民族中に広がり、アルトゥスの前にどんどん兵士が集まっていった。一大軍となった集団は次々魔軍を蹴散らしていった。希望が希望を呼び四散していた騎馬隊も集まっていった。たった一人の力で西側の土地を取り返した。空からの襲撃も、魔の矢であってもミスラの光の前には無力であった。
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