第二章 第六節 追放、そして新たな旅立ち
村人達は翌朝石の門から出て行き、この村の有様を見て、絶望し、肉親の死を嘆き悲しみ、墓を作って行った。
突然武装した兵が王の周りを囲む。
「王よ、議長からお話がある、来るのだ」
俺は仕方なく村長の家に行った。そこに王座があるはずだが、そこには別の人間が座っていた。
「お前は王でありながら真っ先に祠に逃げた」
「議長違います、俺はその後魔物と戦い……」
「嘘を言うな! 魔物は単純にこの祠が苦手だから立ち去っただけなのだ。誰もお前の戦いなど見ておらん!」
「閣議での決定にて今日付けでお前をこの国から追放する!」
「命があるだけでも感謝するんだな」
別の議員――村人が言った。
「出て行け!」
「出て行け!」
村人が次々に言い放つ。
石を投げる者、罵声を浴びせる者、剣を振るう者もいた。
議長は言った。「神に祈ることしか出来ぬものよ、この村を立ち去るのだ」
カーグは荷物を持って出発した。村の光景がどんどん遠くなっていく。
――人間の正義とはそんなものだぞ。どうだ、闇の中に行ったほうが楽であろう。それでも我を信じ、光を世にあまねく照らすのか?
カーグはこの問いに対して言った。
「また旅が始まるだけさ。行こう!親の敵を討ちに。そして世に光を!」
――俺はお前を選んだことを誇りに思うぞ!
それは希望を探求する旅のはずなのに絶望の出発であった。
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