矛盾螺旋肖像〜ホロウ&スケープゴート〜

おとは

第1話 あらすじと主なキャラクターの紹介

男が禁忌「神殺し」を行ったことで世界は一変。二つの平行世界に分けられた。

二つの世界は元々一つである為、同時にタイムパラドクス(特異矛盾)を生み、過去現在未来が干渉し合い、やがて一つの世界、誰かの物語へと収束していく。

「ムスペルヘイム」と「ニブルヘイム」と後に呼称されるそれぞれの世界。

先ずは全ての元凶である男の物語、ムスペルヘイムから物語が始まり、来るべき終幕へ向かっていく。



~ムスペルヘイムサイド~  仮タイトル

「矛盾螺旋肖像~ホロウ&スケープゴート~」


神殺しにより崩壊した世界では「十二刻の再生」という男が犯した罪を贖う為の闘争の輪廻が繰り広げられている。

挑戦者である主人公「フェイト=レジスターナー(運命に抗う者の意)」は、これまで十一度とこの闘争に挑んだが、世界は遂に神の復活を待たずして、消滅の一途を辿っていた。


この闘いの敗北=記憶のリセットと、前聖戦のフェイトが成した功績や痕跡が消去される為、フェイトは手掛かりも何も知らないまま十二刻目の再戦を向かえることになる。ここでフェイトが勝たなければ今度こそ世界は死ぬ。勝利条件は「神の器を殺して新たな神を創ること」しかし、彼の業によって定められた掟は到底勝利することなど叶わぬ矛盾そのものであった。


一、神の器を殺せば世界は終わる。

二、自分が生き残れば世界は終わる。

三、神の器と自分が死ねば世界は終わる。


十二刻目の戦い。

目覚めた場所は為政者によって準国民として生きることを余儀無くされ「異端街」などと揶揄される下町。

彼が忘れていた使命と、闘争の歯車が動き出したのは二十一歳になったばかりに行われた帝都「ザクラードティエラ」の豊穣祭であった。

妹の「シャルール=レジスターナー」と共に警護の任務中であるフェイトは、下町で不条理に暴力を振るわれていた女性を助ける為、事態の沈静化にあたる。

しかし事態は思わぬ協力者によって事なきを得る。

「レクトゥス=ゼーレ=フラン」と名乗る同じ年頃の女性。彼女は後に帝都と和平条約を締結しに来ていた周辺諸国「フラン」の親善大使であり、王女であることであった。

親善大使である彼女は、この国の皇帝との謁見の際、帝都の現状、ヒエラルキーの問題を提起し解決するよう進言することを約束し、去っていった。

そして向かえた和平条約締結の儀…。王城前広場においてホログラム映像を駆使して公開された生中継。場内の議会堂が映し出され、ザクラード皇帝とレクトゥス王女、ヒエラルキー制推進派である教祖「ゾルア=スター」の三人が揃っていた。

議会を見守るフェイト達。しかし告げられた内容は和平条約ではなく、周辺諸国に対して放つ宣戦布告であった。

(下町で起こった暴力沙汰を沈静化したことが、帝都のヒエラルキー制で定められた真の民である「選民」を傷つけたとして、フランによる帝都への宣戦布告であると判断。条約破棄との意向を発表)

さらに神託により明らかとなった神の復活。それに伴い帝都の国民、ひいては植民地化した全ての人々に監視用の腕輪を義務付け、神の器探しの名目で監視下に置くことにより自由を奪うというのだ。

決められたレールを歩き、決められた将来を生きることしか出来ない。そもそも国民が自身の意思を持たず、不条理なヒエラルキーを当然として受け入れる支配体制の異常…。

当然レクトゥス王女はその国政に対しても糾弾する。しかしそれがさらに皇帝に仇なす異端分子、魔女であるとみなされ、見せしめの公開処刑が決定される。

公開処刑の内容とは「地下世界移転装置(ゲート)」により地下世界へ転送されるというものであった。

事態を受け、フェイトとシャルールは王城内の地下牢へ忍び込み、レクトゥス王女の奪還に成功する。追っ手を交わしながら地下水路を抜け、外の世界へと見事脱出を果たした。

戦争の危機が迫っていることを告げ、戦争を回避する算段を打ち出したフェイト一行は王女の故郷である「フラン」へ向かう。しかし待ち受けていたものは炎の海になる故郷、大量虐殺する兵士達、蹂躙される民草達であった。


この無慈悲な殺戮を止める条件…。魔女レクトゥスを差し出し、魔女の逃亡幇助を図った売国奴であるレジスターナー兄妹と共に無条件で地下世界行きを承諾することであった。

罪の無い民達の死を招いた責任を問われ、レクトゥス王女はゲートへと身を投じる。フェイトらも彼女に付き従い、一行は奈落へと落ちていった…。


その瞬間から彼らは秘匿された世界の闘争の輪廻へと身を投じていく。

行き着いた先は化け物が跋扈する世界。

神の死によって発現した聖遺物「クリムゾンレリック」⎯

生物を喰らい、星の生命力が通う地脈(レイライン)から養分を吸収し、巣食う徒花の怪物が混沌を撒き散らしていた。

フェイト一行は優れた能力を有する若者で構成された、対クリムゾンレリック殲滅部隊⎯「国家の猟犬(ハウンドステイト)」統治下⎯

試験的な遊撃部隊である「特務遂行特殊技術運用試験部隊(伏<ふせ>)に入隊。人類を脅かす神の試練最終章に挑むことになる。

フェイト達は人類の存亡を懸け、自由と尊厳を取り戻す為、そしてフェイトに課せられた使命を果たす為、それにより明らかになる世界の謎の顛末、それに関わるとある悲劇の結末を知る。

物語は一つの終幕へと収束し、もう一つの世界「解離性同一世界」で展開していく。



⎯ムスペルヘイムの反転世界「ニブルヘイム」


表裏一体の世界が起こすパラドクス。

物語はもう一人の「運命に抗う者」へと繋がり、彼らの物語の終幕を以て世界は在るべき姿へ還っていく。


~ニブルヘイムサイド 仮タイトル

「楽園幸福論理~クエイク&レクイエム」~



主人公「翡翠」少年と「深紅」少年。二人を取り巻く者達。

関節が外れてしまった世界。人々や世の中の理が大きく変わった黙示録の時代。

「不幸体質」と呼ばれる星と共鳴し、磁石の対極同士のように引き合うことで星の自浄作用を暴発させて未曾有の大厄災を発現させることが出来る者達。正式名称「テラフォーミング共鳴因子」⎯

星との共鳴率(レゾナンス率)が高いほど、感応力の高い人智を越えた力を持つ神に近い存在とされた。

二人の少年の邂逅はやがて、大神を打ち砕く「フェンリル」という世界を激震させる新たな黙示への始まりと終わりへ繋がっていく⎯。



▼人物、用語など


(伏メンバー)


▪フェイト=レジスターナー

主人公、神殺しの男、記憶喪失、執行者、元焔(ほむら)の血族、罪人の烙印(呪い)を持つ。男性。21歳。神殺しの罪を犯した張本人。父は幼少時に消息を絶ち、母は既に他界。血の繋がらない妹シャルールと共に警護の任に就き、生計を立てている。性格はクールで冷静。だが非情になりきれず、なんだかんだ兄貴肌で情に厚く、正義感が強い。持ち前の豪胆さと大雑把さが裏目に出て反感を買うこともあるが、突破口を切り開く斬り込み隊長として慕う者の方が多い。ヒエラルキーが横行する帝都では、下町出身というだけで誰も自分の話に聞く耳を持たず、選民というだけで免罪が罷り通ることに憤慨し、仕事で揉め事を起こすことも度々あったが、圧政に苦しむ下町の市民を守る為に辞めなかった。そんな経緯もあり、レクトゥスが国のトップとして相応しい人格者であることを直感的に感じて、彼女をを救出。母の遺言に従い、いずれ王となるレクトゥスを護る剣になると誓うことになる。眉目秀麗だが酒豪で大食漢な為、見た目と中身のギャップに驚かれる。好きなものは犬。


▪レクトゥス=ゼーレ=フラン

ヒロイン、騎士王女、伏の副隊長、記憶混濁(?)、20歳。消し炭という未知の焔の器。フランでは圧倒的なカリスマ性と文武両道才色兼備という完全無欠な人物として大変人気者であるが、当人は民を導く者の責任として当然の振る舞いであると認識しており、トップスターのように人気でファンクラブまで存在するほどの熱烈な人気者とまでは夢にも思ってない。また天然が災いしてか天然人たらしな発言や行動があるが気付いてない。ナンパされても一切靡かず難攻不落っぷりを発揮する。非常に男前というか思い切りが良いので、周囲を慌てさせる一面もある。またとても純粋で人を疑うことを知らない為に、フェイトらにからかわれることもある。好きなことは読書、鍛練、戦術研究。部隊入り後はフェイトらとよく組手する。同じ女子として女子らしいことをさせたいシャルールから心配され、女子の心構えなどを教授されている。


▪シャルール=レジスターナー

フェイトとは血の繋がらない兄妹、拾われっ子、偽の焔の器、前聖戦のカギを握る、20歳。フェイトのストッパー役として兄を見守ってきた。家庭的で世話好き。誰に対しても面倒見がよく優しい。隊内でもそれは健在でみんなのお姉さん的ポジションになっている。またお洒落やショッピング、お菓子作りなど女の子らしいことが大好きで、鍛練ばかりに精を出すレクトゥスを心配し、女子らしいことを提案し続けている。同隊のクオーレに口説かれる内の1人であるが「恋愛占い的に相性は親友ポジションくらいが丁度良い」と大好きな占いを口実にクオーレを交わしている。因みに恋愛面は占いが基になっている為「理想が高いから彼氏が出来ない」という致命的な点に気付いていない。レクトゥスと知り合ってから密かに胸の大きさを気にしている。


▪クオーレ

伏の部隊長、守護者、解離性の呪い持ち、焔の血族。フェイトらの部隊、伏(ふせ)の部隊長。男性。21歳。自他共に認める女好き。自称フェミニスト。狩猟民族であることが田舎っぽさを連想させると懸念し、都会的な雰囲気を演出している(つもり)。性格はおおらかで社交的。また押しの強い一面があるが最後の最後で一歩踏み出せない優柔不断な一面がある。本人曰く「直球的なのって案外苦手なんだよね。ほら、僕って繊細だし?」とのこと。とてもチャラチャラしていて軽い男に見られがちだが、かなりシビアで計算高い。元々好戦的な為、売られた喧嘩は場合によっては買うこともある。しかし、どういうわけか喧嘩を売った者を懐柔していることが多い。レクトゥスとシャルールを口説いているが本気にしてもらえないのが悩み。その為フェイトを飲みに誘い相談に乗ってもらうが、酒豪である為、フェイトが素面の横で、泣き上戸になっている。毎回泣かれてもうざいと断られても人の話を聞かない。イケメンなのに残念だねとはシャルールの談。女子を理解する為に少女漫画を描いている。案外上手い。


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