第二話 異世界

 眼前には見知らぬ景色が広がっていた。レンガ調の建物に蔓や木々が絡みついている。空を見るとそこにはプテラノドンに似た何かが何十体も飛んでいる。彼は呟く。


「いったい俺が何をしたってんだよ...」


そのあまりにも理解しがたい景色に部屋に戻り、そして椅子に座り考える。


『どうしたらいいんだよ...スマホは圏外だし...そもそもこの訳が分からなくなった世界に職場があるのか?...』


それから一時間ほど考える。そののち考えが固まる。


「外に出て周りを探索するべきだな」


彼は、木本慶はワクワクしていた。なぜなのかは自分自身でもわからない。しかし、この状況にワクワクしていた。


「まぁこれくらいで大丈夫だよな?」

木本慶はリュックに食事や治療道具を入れる。


「夜までには戻るし大丈夫だな!」

手に包丁を持ち部屋を出る。そして空を見上げて安堵する。


『プテラノドンはいないな』


視線を廊下の奥に置き、進む。奥は薄暗い。薄暗い先に階段がある。

ゆっくりと進み難なく階段までたどり着き、階下へと足を下す。『コツン、コツン』


「すごく響いているように感じるな」

微かに呟いた声が弱く反響する。


そのまま階段を降り、地上へと足が付く。地上は木の根が蔓延っている。


「これじゃぁ何百年も前に捨てられた街だな」


人一人、獣一匹の声も聞こえない。そして木本慶は探索を始める。



それから数時間周辺を探索をするも目ぼしい情報は得られなかった。


「こんなに動いたのは久しぶりだな」

机に置かれた蠟燭により影が揺れる。


「硬くてぬるいカップ麺だけどないよりはマシだよなぁ」


おいしくないカップ麺を食べながら考える。


「どうしたものかなぁ...犬とか猫みたいな形跡はないし、もしかして、この世界にはプテラノドンと俺しかいないとか?」


少し黙りもう一度、話始める。一人の寂しさを紛らわすために。


「建物がこんなにあるのに人がいないとか...まぁ建物があるってことは少なくとも昔は人がいたってことだろうし」


木本慶に一つ疑問が生まれる


「どうしてこの街に人がいないんだ?」


当然の疑問だ


「放射能とか?ウイルスとか?...」


疑問に対する答えを考える。当然その答えはわからない。そして、他の疑問を自分に投げかける。


「一旦それはいいとして、どうして俺はこの世界に居るんだ?」


なぜこの世界に来たのか、思い当たることを考えていく。

静寂が広がる。


「そういえば昨日...辞書が...!!!」


木本慶の中に一つの疑問の答えが浮かぶ。


「そうだ!辞書だ!!」


木本慶は本棚に閉まった辞書を取る。そして【地球】のページを開き内容を見ていく。そして呟く。


「やっぱりそうなのか」


木本慶はその疑問に結論を見出した。そして木本慶は言った。


「辞書に書かれている内容はミスじゃなかった。つまり、この本を読み解けば現状の疑問にも答えられるかもしれない。とりあえず、この辞書に載っている重要そうな情報をまとめようか。」


木本慶は呟く


「ひとまず眠いから寝よう」

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辞書の地球は異世界 ハミカミ @hamikami

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