phase.5

ひと際大きな扉の前で私はまだ悩んでいた。

この扉を開ければきっと外に繋がっている。

あんなに出たいと思っていたのに、今はその覚悟が出来ない。


「キィ」「!??!」「くぷくぷ」「アアア」


異形の声が至る所から聞こえてきた。絶対に私を外に出すまいと体中の怪物たちが集まってきたようだった。思わず後ずさり今すぐにでも扉を開けて逃げてしまおう、そう思った矢先、「シロちゃん!」という大声と真っ黒なシルエットが私を引き留めた。


涙ぐむほど安心させてくれたクロの声が今は一番聞きたくなかった。


「止まってシロちゃん」

出会った時と変わらない優しい声色でクロが近づいてくる。

さっきまでうるさかった怪物たちの声がピタリと止まり、私たちの動向を探っているようだった。


「クロ…、無事でよかった」

私の正体がクロにばれてはいけない。震える手を後ろに隠しながら精一杯の笑顔を作った。

クロも免疫の一つなのだろうか?それとも私と同じ存在?…そうだったらいいな、なんて。


「シロちゃん、怪我は?」クロの表情が読めない。

「だい、じょうぶ」何かがおかしい。

「そっか、よかった。それなら


――俺の役目を果たせるね」


そう言ってクロは私の頭に瓦礫の破片を叩きつけた。



TRUE END これで世界は救われた

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Pandemic まえうしろ @maenomerii

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