閑話 ラブリス・アマルティアへの書簡
親愛なる殿下。
ラブリス・ティア・アマルティア様へ
ご希望の技術者ですが、選定に苦慮いたしました。要望書にあった大戦期の技術に理解があり、権力志向が無い。さらに、技術分野を横断的に網羅した知見を持つ人材。
最新の技術を修める者は多々おりますがそのように、過去の技術にも興味があり、広い知識、技術に明るく、かつ有能と言われると、難しく思えました。
しかし、幸いにも一人、選定に引っ掛かりました。
中央工廠開発局に在籍するエドガー・レイホウという男です。
個人的嗜好から、大戦期の魔導機関に強い関心を持ち、外部の軍需企業に在籍していた時から魔導機関に対するありとあらゆる知識を、吸収していたようです。仕事中毒な面を持ち、協調性にもやや難があったようですが、非常に優秀でもあったようです。
ただ、現在はそうではないらしい。という問題があります。
一年ほど前からの人事評価が劣悪になっていました。評価は最低ランク。遅刻・欠勤・成果物は無し。昼行燈然として、一切仕事をしないと記されていました。
その割に、彼は未だに開発主任に身を置いているのです。
恐らくですが、彼の評価は正しいものではないでしょう。
詳しくは内部調査を入れなければわかりませんが、局長のラトクリフ・ハイエンバッハがなにがしかの工作をしている可能性があります。ですが、ラトクリフが赴任してくる前の成績をかんがみるに、殿下がお求めになっている人材である可能性は非常に高いと思われます。
急ぎとのことでしたので、本人への説明は省略し、転属命令を発布します。
殿下のお眼鏡にかなう人材であったならば、時機を見て説明をしてあげてください。
貴女の組織する部隊 『コレクターズ』 は近い将来、国防の要となるでしょう。
国家間の緊張は、ますます高まりつつあると考えています。この国の未来のため、どうかよろしくお願い致します。
アゼルデン軍
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