6章171話 脱出経路
な、何が起きた?マミーの包帯を出した瞬間、急に目の前が白く……
「って他の奴らは!?」
周りが暗くてよく見えないな。灼血で照らすか。
「【灼血】あ、良かった。司に怜、綾はいるな」
「んぅ?ここは……」
「あー頭いてぇ」
「クラクラするわね」
三人とも特段怪我とかはなさそうだ。ちょっと現状を確認しないとな。
「マミーの包帯を出した所までは覚えてるんだがそれ以上が思い出せないだよな。みんなはどうなったか覚えてるか?」
「私もそんな感じ。でもあの時いた場所とは構造が違うからべつの場所に移動させられたってことじゃない?」
「転移罠か!」
踏んだら別の場所に転移すると言う極悪すぎる罠だけど踏む確率は歩いてたら一万円を拾うくらいの確率らしい。
「まず、ここが迷宮エリアなのは確実。ただ地図が意味をなしてないのが問題だ。俺たちはマッピングしながら入ってきた場所に戻れるよう歩いてきた。それがここじゃ使えない」
司のいう通り遭難にほぼ等しい状態が今。何か道標でもあれば……
「あっ!司君、司君に式神ついてる!!」
「うおっ!本当だ、これで澪と合流できる!」
「やった!出来ればあっちの状況も気になるけど……」
式神は司の手から浮かび上がって道を示し始めた。澪自身はどう進んだらいいか分かってないと思うけど最短距離でどっちに行けば良いか決めてるっぽい。
「うちの班は澪に撤退の道具を渡してるから多分今頃使ってるんじゃないかな」
「私も千奈に渡してあるから持ってないのよね」
あっちには鬼灯さんも居るから問題はなさそう。あるとすれば……
「澪の魔力が続くかどうか、か」
どれくらい離れてるのかわからないから式神についていくしか俺たちにできることはないにしろ、式神がいなくなった時点で詰む。
「ッ!蠍……か?警戒して!」
普通なら蠍は茶色あたりだろうにコイツは真紅になってる。しかもでかい!すごく嫌な予感!
「綾!水魔法で式神を守って!!」
「分かったよ、怜ちゃん!」
怜が未来を見たのか式神を綾に守らせた。って事は……
「尻尾から火を出す蠍とか聞いた事ねぇぞ!?」
あの炎に式神が燃やされる未来があったってことか。実にいやらしい。迷宮に意思でもあるんじゃね?
「司!」
「おう!【炎龍鱗】オラァァァァ!」
多分、この狭い中で炎を出してくるコイツはすごい強敵なんだろう。でもおあいにく様、こっちには防御だけなら誰よりも強い奴がいるからな!
「よし、これで危険は無くなったか?」
「いや、そうでもないらしい」
一匹かと思ったら何体も出てくる出てくる。無限湧きではないだろうけど数が多いな。
「綾、土の壁を通路目一杯まで塞いで移動させる事は可能?」
「出来るよ!」
「ならアイツら全員押し込んじゃえ!」
「おー!」
綾の魔法で作られた壁を通路に出てきた蠍たちに押し当てながら通路の壁まで一気に移動させれば効率よく倒せる。しかも、壁を壊そうと炎を吐くせいで逆に茹で蛸状態だ。
その後も式神に案内されつつ蠍やマミー、罠を掻い潜って歩いていると、
「式神が止まった?みんな向こうから何か来る」
通路の先から気配を感じて立ち止まると人影が三つ出てきた。
「みんな!良かった無事ね」
『澪!』
澪と鬼灯さん、それから千奈ちゃんが出てきた。マナスの姿が見えないと思ったら澪がローブになったマナスを着ていた。
「三人が消えてびっくりしたんだから。咄嗟に式神をつけられたのは奇跡ね」
「いや本当に助かったよ。あれが無かったらまだ遭難してる」
俺たちが一安心しているのも束の間。
迷宮の悪意は止まるところを知らない。
ピキッ
『え?』
俺たちの目の前に空間がひび割れたような異変が起きた。それは次第に広がっていってついには砕けた。
「す、吸い込まれるッ!?」
まるで透明な腕に掴まれるように俺たちはひび割れの先に誘拐された。
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