6章170話 分断
「今回から魔物の素材を20個提出してもらう。勿論、一つの個体で一つだ。カウントはチームでとする。以上だ」
今度こそ素材を集めないと!翠に夢で笑われたし。
「「「雪「ちゃん燃やすなよ」」」
「わかってるよ!」
現在、素材を提出してないのは俺達だけ。魔防隊なのだから魔物を倒すのは当たり前としてその資源も活用する為に綺麗な状態で手に入れる必要があるわけで。
評価基準にはそう言う点もあるんだよなぁ。
「今度はどんなエリアに飛ばされるかな」
「怜達は平原エリアで物凄い稼いだらしいぞ」
「私としては狭いところの方がやり易いわ」
「それ、私役立たずになるよね!?」
軽口を叩きながら雪パーティーはダンジョンに入って行く。
異界への扉の先にあったものは
「最悪!迷宮エリアだよー!」
袋小路、罠、魔物、悪意に満ちた迷宮エリアだった。
「こ、これはまた……俺たちの苦手そうな場所だな」
「取り敢えず索敵だけしとくわ【式神】」
澪がいつも通り式神を使って索敵をして行く。
「近くに魔物は居ないわね。もう少し遠くまで見てみる?」
「いや、澪の魔力が無くなりそうだから歩こう」
「式神に関しては大丈夫だけど視界共有には常に魔力使うもんね」
澪の式神を先頭に進むことにした俺たちは迷宮を彷徨い始める。
「意外と魔物に出会わないね」
「だな」
「私も【鬼化】して探そうか?」
俺たちがただ歩くのに飽きた頃、迷宮は牙を向いた。
『カチッ』
「うわっと」
あれぇ?俺今、何踏んだ?
「またかよ!」
「またってなんだ!?」
「ちゃんと地面の罠見てないとダメでしょ!」
くそっ変わり映えのしない景色で警戒を散漫にさせるとは迷宮、やりおる!
「ごめん!」
「まえまえまえ!」
「鉄球だと!?」
「司くん助けて!」
古典的だが自分がかかると本当に厄介だな!俺のやらかしだしなんとかしないと
「【血斬り】!ってえぇ!?」
血斬りを、弾いた!?
「まっったくお前は!【
「司くんが止めてる間に逃げるよ!」
「それが……無理みたいよ」
澪が振り向いた先には、先ほどまであった通路が無くなっていた。
「タチ悪過ぎんだろ!!こうなったら【桜吹雪】」
「何やってるの!?」
「良いから!よし、みんなこっちに来て!!」
悪意で真っ黒に染まった鉄球は勢いよく壁にぶつかった。まともに食らえばひとたまりもないだろう。
「ふぅーなんとかなった……」
「これに懲りたらしっかり警戒しろよ」
桜吹雪で迷宮の壁を破壊できて良かった。なんとか全員が入れるだけの窪みができた。
「ん?これって」
あれ、窪みの奥に空間があるな。
「【桜吹雪】まじか、隠し部屋とかあるんだ」
「不幸中の幸いってやつかな?」
「たまたま隠し部屋があるから壁が壊れやすかったのかもな、でも反省はしろよ」
「わかってるよ」
中は……宝箱と棺桶?
「どうする?流石に私は何もしないでおく」
「罠だったらやばそうだが」
「私の式神で開けてみましょう」
澪が式神を宝箱に貼り付けて蓋を開けると
「宝石…!それにアーティファクトか?これは」
「当たりだね!」
だが、ここは悪意に満ちた迷宮。そう簡単に宝を取らせるわけもなく。
『ガコッ』
「!?!?」
棺桶が、開いた!?しかもあのシルエット、あの声……!
「ゾンビ!?」
「いや、包帯を巻いてあるし棺桶にいた。
「そんなことはどうでも良いって!」
「そんなに慌てなくてもー【火球】」
『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"』
燃え尽きた。呆気なさすぎるなぁ、こう、無限に復活するとかあるかと思ったのに。でもさ。
「あ、燃やしちゃった」
「だよなぁ、私のこと言えないよ?」
これで俺のことも言えなくなったな!
それからしばらく迷宮を探索しつつ歩き回るマミーを倒して回った俺たちはそろそろ帰り支度を始めていた。
「包帯が20個。これでノルマ達成だね」
「そろそろ帰るか、流石に疲れた」
「待って、式神がこっちにくる反応を感じたわ」
俺たちは澪の言う方向を警戒していると
「あれ、雪さん!雪さん達もここだったんですね」
「千奈ちゃん!びっくりした〜」
怜パーティーと合流した。
「なるほど、罠の中に」
「私たちはそう言うの全部避けてたからあんまり収穫はなかったの」
そう言う怜は包帯を二つ取り出した。
「こっちは18個手に入れたよ」
「大半が罠にかかってだけどな」
そうやって持ち寄ったマミーの包帯20個。その本領が発揮される。
「「「ぇ?」」」
些細な、実に些細な事ではあるものの雪、綾、怜、司の運を呪った。
結果、転移罠が新しく四人の足元に出現した。
「【式神】ィ!」
澪は咄嗟に司に式神をくっつけた。その瞬間、四人はその場から消え去った。
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