6章169話 女子会
雪がやらかして怒られていた頃。
怜率いるパーティーは平原エリアに居た。
「やっぱり広い場所の方が戦いやすい。千奈もマナスも動き回る戦法だものね」
「僕としても視界が開けているのは嬉しいかな。色々対策はあるけど基本見れないと意味のない能力だからね」
怜の能力で周辺の索敵をし、鬼灯の魔眼で敵を鈍らし、マナスと千奈の二人が倒すと言う戦法で戦うこのパーティーは早くも雑談ができるくらいには余裕が出来ていた。
「千奈、マナス!そろそろ戻ってきて!」
「「はーい!」」
二人を自分のところまで下がらせた怜は右手に持った薙刀を水平に構える。
「【一槍凍界】!」
パーティーの周りをぐるりと凍らせて氷の壁を建築した怜は再び鬼灯と話し出す。
「よし、これでしばらく休めるわ。ちょっと女子会でもしましょう、そろそろお腹も空いてきたし」
「怜姉はすぐお腹減るよね、携帯食全部甘味じゃない」
「なんでそんな偏った食事でそこまで育つのか疑問です。少しこちらによこしてください」
「んー最近、マナスの当たりが強い気がする。おねぇちゃん悲しい」
「僕、女子じゃ無いんだけど……」
鬼灯は居心地悪そうにしているが怜はさらっと告げる。
「ここには私たちしかいないし、素でもいいのよ?雪は気が付かなかったみたいだけど」
「な、何のことかな?」
とぼけたように言う鬼灯は明らかに動揺しているし、頬から汗も垂れている。
「だって鬼灯さん、女の子でしょ?」
「えっ」
「お父さんの技を研究してる時に女の身体にあった技に改良したりしてたからわかるのよ。若干のぎこちなさはあるけど無理矢理女の子が男の技を使ってるの」
内心バレないことが不思議なくらいではあったものの、まさかこんなところでとは思わなかった鬼灯はさらに動揺する。
「そ、そんなわけないじゃ無いか。僕は男だよ?確かに女の子みたいだと言われたことはあるけどね」
「いや、バレてないと思ってるの鬼灯さんだけですよ?」
「バレバレでした」
「え」
千奈とマナスも怜に加勢。
まさかの状況に鬼灯は観念した。
「どこでバレたのかな……」
「「寮ですね」」
「そこから!?」
「だって鬼灯さん、たまにバレないだろうと思ってお風呂に入ってくるじゃ無いですか。いつもは寮母さんに頼んで他の時間に入ってるのに」
「ぁ……」
そう、バレない自信があったからこそたまに早い時間に風呂に入っていたのが仇となったのだった。
「で、でも僕とは気が付かないだろう?女の身体なんだし」
「そこで開き直るからバレるんですよ、よくファンの子にバレなかったと思います」
「髪を下ろしていたら一見分かりにくいですけどよく見れば誰でも分かると思います」
男に見えるようにと長い髪を束ねていた鬼灯だったが、贋作を作る千奈の観察眼を舐めてはいけない。寸分違わず本物を作る千奈にとって顔ごときを見間違えることなどないのだ。
「はぁ、今度から気をつけるよ。出来れば広めないで欲しいかな」
「なんでわざわざ男装しているかは聞きませんがわかりました」
「そもそも脅すつもりじゃ無いからね」
「そうそう、暇になったから女子会でもどうかなってだけ」
観念した鬼灯は女子として参加した。
「ちなみに他の人にもバレてるのかな?」
「うーん、雪とか綾辺りにはバレてないと思う」
「司さんは怪しいですね」
「雪さんとか気が付いてもいいと思うんですけど……」
「確かに、僕も何度か危ない時があったよ」
「そういえば聖火祭の時とかどうしてたんですか?確かお化け屋敷でしたよね?」
「あの時は人が来ないロッカーで着替えてたよ。ただ、血桜さんが来た時は焦ったかな」
それから色々我慢していたことを発散するかのように鬼灯は怜たちと話し出した。
服のこと、化粧品のこと、他にも様々。
女子としての友達の少ない鬼灯にとってこの上なく楽しい時間だった。
「よし、そろそろ魔力も戻ったし再開しようか」
「「「はい!」うん!」」
鬼灯の提案で女子会を終えて戦闘準備を始める四人。
「また今度女子会しましょう、鬼灯さんのお部屋で!」
「うん、いいよ!」
「やったー!」
そんな約束をしたところで鬼灯の魔眼で氷の壁を溶かして再び魔物討伐を開始する怜たちであった。
銀嶺パーティー
討伐成績:学年一位(燃やし尽くさなければ雪パーティーと同着)
後書き
二作品ほど新連載始めました!
隔日連載になるかもですが今後ともよろしく!
ドラゴンスイーツ!〜拾った(奪った)スイーツを食べた甘党ドラゴンは目を覚ますと幼女の姿になっていた
https://kakuyomu.jp/works/16817330655101566229
夢魔と呼ばれたエルフの英雄作製〜魔術師育成は飽きたので剣士を育てます~
https://kakuyomu.jp/works/16817330653771681860
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