5章156話 共同制作
「美味しかったー♪初めて食べる果物もあったけどどれも美味しかったです!」
「それは何より。強いやつほどその食材は美味しいですから調達が大変なんですけどね。」
「そこは僕が何とかするのさ!!副部長の料理は絶品だからね。持ってきさえすれば何だって作ってくれる僕の相棒さ。」
この人の行動指針、頭じゃなくてお腹で決まってそうだな……涎垂れてるし。
「いつもむちゃぶりされてる私の身になってください。この人、無駄に強いので大変なんですよ……。」
なんだか、化紺先輩と衣手先輩みたいだなぁ。やっぱり一年も一緒にいると仲良くなるのかな。
「それじゃあ私たちご馳走になりました!知り合いにここのこと宣伝しておきますね?」
「うん!よろしく。」
料理研究部をでた俺と緋翠は当初の目的だった魔道具研究会の元に向かった。部室まで行くと装飾なんてされていないいつもの部室で逆に安心する。
「血桜です、先輩方いらっしゃいますかー?」
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!
「な、何!?」
部室に足を踏み入れた瞬間、部室内にけたたましいブザーの音が鳴り響いた。緋翠も驚いたのか俺のスカートにしがみつく。
「実験成功ー!!いや、驚かせてすまない。」
奥の方からアフロ先輩が出てきた。また何か実験をしていたのかな。
「今度は何をしていたんですか?出し物は?」
「今年はここじゃなくて隣の錬金術の方で共同で出させてもらってるよ。今何をしていたかと言うと……」
アフロ先輩が奥の方を見ると数人の先輩と錬金術部の方の部長、それと何故か緋真姉がいた。
「緋真姉!?なんでここにいるの?」
「ん?あぁ、雪ね。今、魔道具研究会と錬金術部の合作を視察してたのよ。」
「視察って魔防隊として?」
「えぇ、この研究に一枚噛ませてもらいたくて、ね。」
一体なんの研究をしてるんだ?さっきのブザーと関係あるのかな。実験成功とか言ってたし。
「先程の警報なんだけどね、従来のセンサーを使ってないんだ。赤外線とか体温とかでもなくてね。」
「魔力検知器でも無いんですか?」
魔力を検知して警報を鳴らすタイプのセンサーですら無いのか?
「一部正解……かな?正解は」
「特定の魔力パターンの人物だけ通すセンサーだよ!!いやぁ、開発が大変でねぇ。」
「おい、俺が説明しようとしてたのにぃ!」
「まぁ良いじゃ無いか。」
特定の魔力パターン?魔力で人を判断するってことか?
「実はこの研究には血桜さんの能力をヒントにさせて貰ったんだ。」
「私の?」
そう言うとアフロ先輩は拳大の紫色の宝石を取り出した。
「さっきまではこの部室内の人物のみこのマナアメジストに記憶させておいたんだ。で、登録されていない血桜さんが入ってきたから警報がなったわけ。」
「君の【吸血】は魔力を吸い取るだろう?今までマギストーンのような人工魔水晶のようにすることはできても、魔力をそのまま蓄えることは出来なかったんだ。けど、君と言う存在のおかげで魔力を貯める方法を見つけた。それがこのマナアメジストさ。」
確かに何回か能力を見せてほしいと言われたことがあったな。それで、この研究に使われたわけか。
「これに魔力を込めるとそれを波長として記憶できるんだ。と言っても一瞬だけなんだけど。その一瞬の波長を読み取って保存するのがこの魔道具なんだ。」
緋真姉が見ていた魔道具には確かにアフロ先輩が持っている宝石と同じものが嵌め込まれていた。
「魔防隊はこれを各魔防学校並びに重要警備場所に設置できないか検討中なの。結界と併用できればこの上なく厳重にできるから。生徒でないものが入り込めないようにね。」
つまりはこの前の呪術師の仲間を警戒しているわけか。確かにそれがあれば安心かもしれない。
「私に協力できることがあれば言ってくださいね。それじゃあ私たちは隣の錬金術部の方に行ってます。」
部長二人に挨拶をして俺たちは隣の部室に向かう。
「今まで発明した魔道具と錬金した素材を展示してるのか。生活に使えそうなものから何に使えるんだって言うものまでいっぱいだ。緋翠、下手に触らないようにね。」
「うん!」
先ほどまでスカートにしがみついていたとは思えないほど元気だ。きっと玩具屋に来た子供ってこんな感じなのかな。
「お母さん、これ何!?」
「これは……携帯型魔力コンロだね。かなり小型化されてるけど便利そうだ。」
「これはこれは?」
「これは……魔力を込めるとプロペラが回って下にくっつけたものを持ち上げてくれるらしいよ。」
「へぇー。」
昔遊んだなぁ、竹で作った竹とんぼだっけ?珍しく司が上手く飛ばせなくて笑ったっけ。
その後も緋翠の気になるものを見て3日目は終わった。
あとがき
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