5章149話 雪の嫌いなもの
聖火祭二日目も午前中は接客、そのあとは自由時間と調理の予定だ。今日も綾と
出し物を回る予定で司と澪も一緒に回るらしい。
そういうわけで開店時間前の準備をしている。緋翠も小さい体で一生懸命頑張ってくれる姿はクラスのみんなが見守ってる。
「お母さん、ちょっといい?」
どうしたんだろ?えらく真面目そうな顔をしてるけど。
「私、司さんのお手伝いしてもいいかな?お菓子を売るのも楽しいけどお料理作りたいの。」
なるほどなぁ。昨日楽しそうに肉巻き作ってたからな。
「いいよ、司と江口君には伝えておくから行っておいで。今度私にも食べさせてね?」
「うん!」
緋翠は嬉しそうに千奈ちゃんたちのもとに言って手伝いをし始めた。自分の意志でやりたいことを言えて娘の成長を感じるなぁ—————っと司に伝えに行かないと。
「司ー!ちょっといい?」
「なんだ、雪?なにかあったのか。」
司は並みか異常事態があったのではと身構えていたけどそういうのじゃない。
「いやそうじゃなくて緋翠が司の手伝いをしたいっていうから面倒を頼めないかなって。」
「俺の?」
「昨日、肉巻きを作らせたんだけど楽しかったみたいで。頼めないかな。」
「それはいいけど離れても大丈夫なのか?」
?司なら緋翠を任せられるからOK出したんだが。
司は呆れたようにしゃべりだした。
「最近のお前、緋翠ちゃんにべったりだったろ?子離れできるのかってことだよ。」
「当たり前だろー?緋翠から手伝いに行ったんだし私も自分からしたいことを見つけたあの子の邪魔はしないって。」
「……………子離れできるとは言わないのな。」
あと数時間くらい我慢できるっての。
「江口君ちょっといいかな。」
「な、なにかな!?」
「緋翠が調理の方を手伝いたいって言ってて行かせてあげてもいいかな?」
「あ、あぁそれならもちろん。緋翠ちゃんには手伝ってもらえて助かってる分楽しんでもらいたいからね。龍堂に話を通してあるなら問題ないよ。」
「ありがとう!」
変態眼鏡かと思ったら意外といいやつだな。あ、そろそろ開店時間だ。
「みんな、聞いてくれ。そろそろ開店時間だ。昨日の経験からかなりの混雑が予想される。調理担当は激務になると思うが頑張ってほしい。接客に関しては満員になった後の整理券のさばき方に注意してくれ。二日目も頑張ろう!」
『おー!』
昨日と同じく放送によって開店の連絡がなった。
「お母さん、またね!」
「うん、司の言うことちゃんと聞くんだよ?」
緋翠も司とともに調理室に向かった。あぁーさびしいなぁ。
「それじゃ、私と綾が今日は販売が先、怜、千奈ちゃん、マナスが接客でいいんだよね?」
「はい!がんばります!」
若干の不安要素はあるけどそこはファンクラブがなんとかするだろう。客引き担当が千奈ちゃんと綾なのが本当に不安だ。
じきに物凄い跡音が聞こえてきて始まったことを感じる。
「じゃあ、私客引きやってくる!」
「気をつけてなー。」
『メイド喫茶やってまーす!オムライスとかお菓子がありますよ!あ、いらっしゃいませ!』
綾の声が聞こえてきたことで店にも人が入ってきた。
『いらっしゃいませー!』
◆
しばらくしてだいぶ人も落ち着いてきたようでそこまで忙しくもなくなった頃、あの人がやってきた。
「やぁ、見に来たよ。」
「鬼灯さん!いらっしゃませ。こちらにどうぞ。何にしますか?」
外には鬼灯さんのファンクラブの人がいっぱい来ていてすごい事になってる。ファンクラブでも対処できてないみたいだな。
「んー、オムライスを貰おうかな。朝早くからうちの準備で食べてないからさ。」
「了解しました、オムライス入りましたー!」
そういえば鬼灯さんのクラスの出し物は見に行ってないなぁ、何をやるんだろう。
「鬼灯さんの出し物も後で行きますね!なんの出し物なんですか?」
「お化け屋敷さ。尤も、僕は裏方なんだけどね。」
「へ、へぇー。面白そうですね。」
まずい、行くって言っちゃったぞ!?
「最初は僕も脅かす役をしたんだけどどうにも驚いてくれなくてね。」
そりゃそうでしょ、こんなキラキラしたオーラ出してたら驚く前に気がつくって!
「オムライスお待ちしましたー。ごゆっくりどうぞ。」
俺は足早に販売に戻る。千奈ちゃんが居ない時だけの予定だったのに最悪のタイミングだ。
「雪ちゃん、大丈夫?顔色悪いよ?無理しないでね。」
「大丈夫、体調が悪いわけじゃないから。」
「そうじゃなくて、雪ちゃんお化け苦手でしょ?」
そうなのだ、昔からホラー系は全く受け付けなくて小さい頃、トイレに行けなくて綾について行ってもらったこともあるくらいには無理だ。
「でもー行くって言っちゃったし。そこまで本格的じゃないでしょ。大丈夫、大丈夫。」
「本当かなぁ。凄く心配。」
その会話を聞いていた千奈とマナスはその先の結末をすでに知っている。
「確か鬼灯さんのクラスって。」
「うん、ネクロマンサーとか私の戦った呪術師の人とかいるクラスだったはず。」
遊園地などにあるお化け屋敷よりもクオリティが高いを宣伝文句にしている出し物であった。
あとがき
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