5章135話 そろそろ現実逃避やめようか
俺が目を覚ましてから3日、やっと退院する許可が出た。完全に健康体だったから問題ないって言ったんだけど・・・輸血消失事件のせいで検査入院という事で3日も遅くなった。
まぁそれは良いとして。俺が眠っている間に色々あったらしい。
まずは会場にいた観客の一斉昏睡事件。これは完全に外部の犯行としてかたをつけたらしい。そりゃあ化紺先輩を操ってた呪術師が居たなんて発表したら、先輩がどういう扱いになるかわからないし妥当だと思う。
もう一つは聖火祭の大会が延期になった事。犯人の目的、侵入法などが明らかになってないからだ。そんな中全国から人を集めるのは良くないという判断らしい。
「楽しみだったんだけどなぁ。」
俺はため息をつきながら寮の外の夜空を見る。事件のことがあって授業や部活は一部停止、その間魔防隊が調査にあたるということで隊員が学内にいる。
「化紺先輩、早く起きてあげてください・・・」
あれからまだ先輩は目を覚さない。最初、何故結界内に先輩が居たのか、などから犯人ではないのか?という意見もあったが怜と千奈ちゃんのおかげで疑いは晴れた。
今は病室で衣手先輩に看病されている。先輩が起きたとしてどんな風になっているか想像もつかない。
もしかしたら・・・・・・いや、考えるのはよそう。
「雪ちゃん、そろそろ寝よう?」
綾が声をかけてきた。確かにそろそろ寝ないとな。明日からはまた授業が始まるらしいし。とはいえ座学のみだ。会場付近はまだ魔防隊が調査してるから。
「うん、そうだな。」
俺は自分のベッドに寝て目を瞑る。
「ヒッ、わ、私・・・」
まただ、化紺先輩の怯えた表情が目を瞑ると思い出してしまう。あれは怖がってる表情ではなかった。いや、怖がってはいた。ただそれ以上にーーーーーダメだ。考えすぎて変な考えになってる。俺と先輩が似てるなんてそんなことあるわけないのに。
「寝よう。明日は早いんだ。」
俺は暗い世界に身を投じた。
「すまん、雪。」
「ごめんね、雪ちゃん。」
司と綾が遠くに歩いていってしまう。
「待ってくれ!置いてかないでくれ!まだ一緒に居たいんだ、俺は、私は!」
俺は急いで二人の元まで走る、でもどんどん離れていく!?待ってくれ!
「雪、お前の力じゃあいつらには届かねぇよ。借り物だからな、お前の力は。」
「どういう事だ、
「自分の力を理解してないお前はこれから先、強くなれないって事だ。」
「どういう事だよ!?」
訳がわからない。確かに俺は血液操作の門を開けられてない。だけどそれが借り物ってどういうことだ!?
「お前は何で三つも能力があるのか知らない。なんで無能力者のお前が血を飲んだだけで能力を発現したか知らない。」
「そんなの、知るわけないだろ!?第一、そんなことを知ってどうなるっていうんだ!」
「それは
「どけって、どけ、どけよ!!早く行かないとアイツらが見えなくなっちまう!」
アイツらの姿が見えなくなっていく。それはあの卒業式の日とは違って追いつけないくらい遠くなる。
「慌てんな、それよりお前は一番身近な奴と話さないといけない。」
一番身近な?そんなの綾と司に決まってる。こいつ何を言ってんだ。
「生まれた時から、いや、生まれる前から隣にいた奴とお前はまだ話してない。」
そういうと
その瞬間俺は意識を失った。
何かが乗ってる。なんだ?綾か?俺は寝起きのしばしばした目を擦って目を開ける。そこには・・・・・・誰だコイツ。
「えっこの子誰だ?」
俺の上にはふわふわした緑色の髪と赤い眼の幼女がいた。誰かの妹か?
いや、ここは全寮制だ。家族の元に行く奴はともかく連れてくる奴なんていない、そもそも俺たちの部屋に入ってくるなんているわけない。
きっと夢だ。なんか嫌な夢を見た気がするけどそのせいで変な幻覚を見てるんだ。もう一回寝たら消えてるだろ。
俺は布団をかぶってまた眠る。
ぐっ苦しい!胸に何か乗ってる!?いや胸が乗ってるんだよ、そうだよな?俺は女になったんだから。
「おきてー。」
まずい、幻聴まで聞こえてきた。さすが夢だな!聞いたことない奴の声まで聞こえるなんて。
「えい」
はぅっ!コイツ脇まで触ってきやがった!ダメだ、これ夢じゃない。こんなにリアルなくすぐったさ。
俺は起きて顔を洗いに行く。布団にいた奴?起きたら居なかった。
「やっぱ、夢か。昨日考え事して寝た、から、だ、な。」
待て、待て、待て!?アイツ綾のベットにいやがる!しかも綾の二つの山を登山中だ!?
俺は迅速にこの幼女を確保した。別に羨ましかった訳ではない、この状態で綾が起きたらまずいと思った、そう、それだけだ。
「お前、名前は?」
俺はこの幼女に名前を聞くが顔をかしげて「?」という感じで答えない。見たところ小学生かそれより小さい。なんで俺たちの部屋に居るんだ。
「誰かと一緒に来たのか?」
俺は誰かの連れかと思って聞くが首を横に振ったから違うみたいだ。
「ぅうん、あれ、ゆきちゃんもうおきてたのー?」
ヤバイ、綾が起きた!この子のことどう説明すんだよ!俺だってわかんないのに。
綾は目を擦って俺を見てる。もう気づかれるのも時間の問題だ!どうする、隠すか?いや、コイツ絶対出てくるよな。
「雪ちゃん・・・その子だれ?」
やべ。気がつかれた。どうする、言い訳を考えろ!ダメだ、起きたばっかの頭じゃロクなの出てこない!
「えーーーーと、起きたら居たというか。私は無実です!」
「かわいいー!」
綾は俺からコイツを奪い取って抱きしめた。えぇ、こっちの焦りは無駄だったの?
「名前なんて言うの?どこから来たの?お母さんは?」
立て続けに質問する綾だったが、綾の「お母さんは?」の質問にコイツは予想外の行動でこの場にさらなる
「ん!」
こいつ、俺を指差してお母さんだと言いやがった!
あとがき
ごめんなさい!更新遅れました!
ここから聖火祭に入っていきます!雰囲気は文化祭でしょうか?学園生活楽しんで欲しいですねー?戻りたいなぁ。
新作を書き始めました!
日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663
是非みにきてくれると嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます