4章127話 えっ?
「【樹木刀】!運が良いこと以外に狂華ちゃんは出来ることはないッ。」
千手先輩は接近戦で賭戯先生を倒すつもりみたいだ。俺でもそうする。人数が多かった時は先生の技で巻き込まれやすくなってしまうから遠距離中心だったみたいだけど、1人になった今なら攻撃手段のない先生の方が不利だ。
「フフッ私がそんなことも対策してないとでも?【
先生が接近する千手先輩から逃げるようにして後ずさっているのを見て、流石に千手先輩の勝ちだと思った。のだが奴の運は底知れなかった。
「大人しく部費を払いなさいッ。」
「嫌です!私のお金ですぅ!キャッ。」
千手先輩の袈裟斬りをなんとたまたま地面に落ちていた枝に転ぶことで避けていた。アレも蝶運で作り出しているのか。
「今度こそッ。」
「【
転んでいる賭戯先生に追撃を加える先輩は何が起こっても対処できるようにしていた。だが予想外の敵が現れる。
先生は蝶運で発生した蝶を先輩の顔に貼り付けた。正直無駄な抵抗だと思ったのだが。
「イヤッとってとって〜!取ってください〜!」
ものすごい勢いで先輩が七転八倒の大慌てを始めたのだ。
「司、もしかして先輩って・・・・・・」
「大の蝶嫌いだ。なんでも大樹に蝶をくっつけられてから無理らしい。」
「えぇ何してんのさ大樹。でもどうするんだ。先輩がああなっちゃうと負けちゃうんだけど。」
「問題ない、ここに同じことして酷い目にあった奴、いるだろ?」
なんの話かと思ったら緋真姉に虫を見せた事か。って事は。
「いい加減離れろッ!!先生だと思ってこれだけは使わないようにしてたけどもう良いですよね?【樹海】解除。【杉林】」
先輩は樹海を解除して賭戯先生の周りにあった木を無くした。そのあと自身の周囲に杉の林を作り出したみたいだけどどうするつもりなんだ?
「【花粉飛散】先生、確か花粉症でしたよね?頑張ってください。」
杉の木が一斉に揺れてそこから黄色い粉が舞い散った。アレ全部花粉なのか!?え、致死量超えてない?
「えっ?エッ、アッに、逃げなきゃ!」
先生は逃げようとするがそこは結界の中。逃げ場などない。
「だ、出してくださいッ。このままだと生徒の前で酷い顔になっちゃうッ。」
『出るためには降参するしかないが、降参するのかね?』
正直、さっさと降参してほしいのだがあの先生のことだから・・・・・・
「しませんよっ!私のお金ですから!こうなったら!【
先生に襲いかかった花粉の量が一気に減少する。おそらく運を使って何とか大丈夫な量まで花粉を減らしたのだろう。けど運を使って無くならないのか?
「ずびっこれで、何とか・・・」
「先生、まだ終わってませんよ?」
「へ?」
先生の足元から木の根が生えて体を拘束して行った。大の字になって拘束された先生は何とか脱出しようとするが抜け出せないようだった。
「私、部長千手神奈が代表して顧問賭戯狂華を反省させる!いけっ花粉!」
拘束された賭戯先生に花粉が襲いかかった。何とか吸わないようにしたり【幸運な生還】で減らしたりしているみたいだが完全に防げていない。もう降参した方がいいと思うんだが。
「ぐすっすびっま、まだやでまずよっ」
もう鼻からも目からも色々出てるから見てられないんだけど。そろそろ降参しないと人としての尊厳無くすぞ。
「そうですか、流石は腐りきっても我が部活の顧問。なら、攻め方を変えましょう。【
先輩は拘束されている先生を横に倒す。まるでお尻を突き出すような体勢にかえた。え、まさか。
「反省しない子供にはこうです。」
パシィィィィイイイン!
もの凄くいい音が鳴った。それはもう会場全体に響くいい音が。
「ピッ!?ま、まって?私既にお尻が赤くなってヒリヒリしてるの!ほ、他の所ならいいから!あ、胸とかならいいからぁ!」
アッ。言っちゃいけないこと言った気がする。
「はぁ、最大級の地雷踏み抜いたぞ、狂華ちゃん。」
賭戯先生はいわゆるロリ巨乳のような体型なのだが千奈先輩はえーーっとこうスレンダーな体型だからちょっとまずいな。
「狂華、その駄肉諸共もぎ取れるまで叩いてあげる。ふふふふふふふ。」
「あれぇ私何かしちゃった?ひうっ!」
先生が吊るされながら叩かれるという前代未聞の光景を目の当たりにして俺は正直もう終わってあげてと思った。解説席にいる理事長の方をチラリと見たらもの凄く楽しそうな笑顔をされていたので降参するまで続くんだなと諦めたけど。
もう5分は叩き続けているんだが幸いなことに戦闘用の服だったため破れてはいなかった。もし破れていたらお尻が丸見えになって胸も見えていたことだろう。それを期待している人もいる気がするけど。
「みっみっみっ!?も、もうはぅっやめ。」
「何ですか?もっとやれ?」
完全に先輩が暴走していた。そこまで気にしていたのか。いや、地雷を踏みまくった賭戯先生が悪いんだけど。
「【
遂に抜け出した先生だったが既に生まれたての子鹿のような足取りだった。完全に負け確定なのだがまだ諦めない。
「降参してください。流石に私も可哀想になってきたので。」
「ま、まだ終わってませんよ〜。」
諦めない様子だけどもう逃げる力も残ってない状況でどうするというのか。
「【
「まだ運があったの?でももう何をしても逃がさない。」
先輩が樹木刀を構えてこれから起こることに備えて警戒している。一体何が起こるんだ?
「蝶々さん!私を勝つ未来に連れて行って!」
徐々に先生の周りに蝶が集まってくる。
「今までで一番蝶が集まって来てる!これで勝てッ。」
自信満々で笑顔になった先生が一瞬足がふらついた瞬間足元にあった枝に転んで頭を打った。あれって最初に折れた枝だよね。その後も回避に使ってた。
「えっ?」
先生に集まった蝶はしばらく漂った後霧散していった。何がしたかったんだろう。
「勝者【戦術戦闘部部員連合】!」
何ともあっけない幕引きだった。にしても先生の身に一体何が起こったんだろう?
「司、何で先生あそこで転んだんだろ。豪運の先生ならあそこで転ぶなんてないよね?」
「いや、結構運使ってたし、最後の【幸運な生還】で運を使い切ったんだろ。んで【蝶運】を使ったから自分が負ける選択肢しか選べなかったとか、そんなところだろ。」
「なるほどねぇ。」
自分の行いが帰ってくるあたり反面教師として完璧な気もするがそれはともかくとして部費返せ。
後書き
大抵の場合引き際を間違えたギャンブラーはこうなる。そう思います。
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